ある日、ピチューとトゲピーがピカチュウのもとに騒ぎながらやってきた。

ピチュー「兄ちゃん兄ちゃん!」

ピカチュウ「ん?どうしたの?騒がしいな。」

ピチュー「あのね、ペットが飼いたい!」

ピカチュウ「ペット?う〜ん・・・。」

弟達の急な願いに、ピカチュウは悩んだ。

果たして、ピチュー達にペットの世話ができるのだろうか。

だが、ピカチュウも別に動物は嫌いではないし、ピチュー達にとってもペットを飼うことは良い経験になるかもしれない。

ピカチュウ「仕方ないなあ。ちゃんと世話するんだよ?連れておいで。」

ピチュー「わ〜い!やった〜!おいで〜!!」

ピカチュウ「(犬かな?猫かな?ヘビとかだったらどうしよう・・・。)」

ズシン・・・ズシン・・・

ピカチュウ「え?え?何この足音!?まさかインド象じゃないだろうな!?」

ピチュー「紹介するね!ゴーちゃんだよ!」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

ピカチュウ「うわああああああ!!」

ピチューが連れてきたのは、ゴーレムポケモンのゴルーグであった。


ピカチュウ「はぐれポケモンじゃん!動物じゃないし!こういうのはペットって言わないの!」

ピチュー「でも兄ちゃん!ゴーちゃんはお利口さんなんだよ!色んなことできるんだよ!」

ピカチュウ「色んなって何さ?お手でもするっての?」

ピチュー「えっと・・・お皿洗いとか!」

でかい手でお皿を洗おうとするが、パワーがコントロールできないのか、バリンバリンとお皿を割るゴルーグ。

ピカチュウ「うわ、やめろ!」

トゲピー「トゲー!ダンスも踊れるよ〜!ゴーちゃん!れっつだんしん!」

ゴルーグ「ゴー!ゴー!」

でかい身体でドスンドスンと音を立てて踊るゴルーグ。キッチンからはその振動で落ちた食器がまた割れる音がしている。

ピカチュウ「やめろ〜!!部屋がめちゃくちゃになる!!もう捨ててきなさい!!!」

トゲピー「トゲー!にいちゃんうそつきー!」

ピカチュウ「ダメなものはダメだよ!」

ホーホー「そうだ坊主共!そんなものがいたらこの家が狭くなるではないか!」

ピカチュウ「お前も出て行け!何しれっと家族面してるんだよ!しっしっ!」

ピチュー「兄ちゃんのわからずや!行こうゴーちゃん!家出してやる!」

トゲピー「トゲー!いえでだいえで〜!」

ピカチュウ「家出!?」

ピチュー「いけーゴーちゃん!」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

ピチューとトゲピーはゴルーグの背中に乗って、どこかへ飛んでいってしまった。

ピカチュウ「あいつ飛べるんだ・・・。じゃなくて!い、家出だって・・・?」

ホーホー「これはちょうどいい。子供がいると騒がしくてかなわんからな。広くなってよいではないか。それじゃあ子供部屋は今度から我々ホーホー隊の会議室にしようっと。」

ホーホーはピカチュウに殴られた。

ピカチュウ「ああ、このままピチュー達がグレちゃったらどうしよう・・・。」


数年後・・・。

ピチュー「よお兄貴。久しぶりだな。俺、この度ライチュウに進化させてもらうことにしたんで。」

ピカチュウ「なんだって!?自分が何を言ってるのかわかってるのか!?やめろ!!」

ピチュー「あの時ゴルーグを見捨てたあんたが悪いんだぜ?これからはデデンネと組んでアンチピカチュウ同盟を結成してあんたに逆襲してやるんで、そこんとこ夜露死苦!」

トゲピー「ぺっ。いつまでも赤ん坊だと思うなよ?じゃあなピカチュウ。」

そしてピチューとトゲピーはバイクに乗って去っていった・・・。
続く


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ピカチュウ「続けらんねえええええ!!嫌だ嫌だ!こんな最悪のシナリオ!大変だ!こうなる前に早く連れ戻さないと!手伝えホーホー!」

ホーホー「一体どんな想像したんだお前?やれやれ。仕方がない。ホーホー隊、出動だ!!」


思わず飛び出してきたピチュー達だったが、特に行く場所もなく、途方にくれていた。

ピチュー「これからどうしよー。僕たちペットも飼ったことないからわからない〜。」

ミュウツー「ペットと言ったか?」

ピチュー「あ、ミュウツー兄ちゃん。実はかくかくしかじか〜!」

トゲピー「かくかくトゲトゲ〜!」

ミュウツー「う〜む。このはぐれポケモンのお世話をしたいのか。いいだろう。私がアドバイスをしてやろう。私の家にはたくさんのペットの中、はぐれポケモンのミューちゃんもいるぞ。」

ピチュー「やったー!」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

ミュウツー「まず、生き物の世話にあたって必要なものは二つある。まず一つは愛情だ。お前たち、このゴーちゃんとやらが好きか?」

ピチュー「もちろん!」

トゲピー「トゲー!」

ミュウツー「うむ。よろしい。そしてその愛情と共に必要なのは・・・カルピスだ。」

ピチュー「ええ〜?本当〜?」

ミュウツー「本当だ。カルピスが嫌いな生き物などいないからな。」

ピチュー「そっかあ。おいしいもんねえ。」

ミュウツー「後は・・・そうだな。散歩はかかしてはいけないな。運動をしなければ太って不健康になってしまうからな。」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

ミュウツー「・・・もっともそいつが太るような体の構造してるようには見えんが。」

ピチュー「わかった!散歩しながらカルピス買って愛情もって育てるよ!ありがとうミュウツー兄ちゃん!」

ミュウツー「うむ。気にするな。困ったらいつでも私とカルピスを頼れ。」


駅前広場では、いつもどおり誰も聞かないにもかかわらず、メロエッタが路上ライブを行っていた。

メロエッタ「はあ・・・。今日も誰も聞いてくれないなあ・・・。」

ズシン・・・ズシン・・・

メロエッタ「え?え?なになに!?」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

メロエッタが顔を上げると、ゴルーグの巨体が立ちふさがっていた。

メロエッタ「ぎゃあああああ!!何この巨人!?」

ゴルーグを巨大な腕がメロエッタの前にせまる。

メロエッタ「いやあああ!!巨人に食べられるううう!!」

ギルガルド「待て待て待て!!悪の巨人め!女子を狙うとは何のつもりだ!」

ピチュー「勇者の兄ちゃん!ゴーちゃん別に悪くないよ!」

ギルガルド「嘘をつくな!今正に女子を襲っていたではないか!悪は許せん!伝説のガルドソード!」

ゴルーグに襲いかかるギルガルド。しかし、ゴルーグの硬い体にはまるで通用しない。

ギルガルド「硬っ!こいつ硬っ!刃こぼれする!!」

ゴルーグ「ゴー・・・。」

ピチュー「やめろ〜!ゴーちゃんやっちゃえ!」

ゴルーグ「ゴー・・・!」

ゴルーグのシャドーパンチ!

ギルガルド「うわっ!シ、シールドフォルム!」

ビビったギルガルドはシールドフォルムへ変わるのが遅れ、盾となった体にヒビを入れられてしまった。

ギルガルド「ぐふっ・・・!つ、強すぎる・・・!も、もしやこれは強制敗北イベントか!きっとこの後にあるパワーアップイベントの後で必ず貴様を討ちに・・・!」

メロエッタ「ちょっと〜!勇者様しっかりしてよ〜!!」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

メロエッタに近づくゴルーグ。

メロエッタ「ぎゃ〜!ぎゃ〜!助けて〜!!」

ゴルーグはメロエッタにすっと花を差し出した。

メロエッタ「・・・は?なにこれ?」

ピチュー「ゴーちゃん、このお姉ちゃんのこと気に入ったの?」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

メロエッタ「・・・マジ?こっちの島での初めてのファンが謎の巨人って・・・。」

さすがに戸惑いを隠せないメロエッタ。

メロエッタ「う、う〜ん・・・。でもアイドルはファンを選んじゃダメよね!よ〜し、特別にサインあげちゃう!」

ピチュー「よかったねゴーちゃん!」

ゴルーグ「ゴー!」

トゲピー「プリキュ○のおねえちゃん、ありがとー!」

メロエッタ「あっぷっぷ〜!だからプリ○ュアじゃないってのに・・・。」


しばらく歩いた3人は、疲れたので少し休憩をとっていた。

ドレディア「・・・・・・・・・・・・。」

ピチュー「ねえゴーちゃん。あのお姉ちゃんがずっとゴーちゃんのこと見てるよ?知り合い?」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

首を振るゴルーグ。

ドレディア「・・・・・・・・・・・・。」

近づいてくるドレディア。

ゴルーグ「・・・・・・・・・・・・。」

見つめ合う無口な2人。

トゲピー「トゲ???」

ピチュー「このお姉ちゃん、兄ちゃんのお友達かなあ。」

子供ながらにわけのわからないピチュー達。こういう時間は何故かやたらと長く感じる。

ドレディア「・・・・・・・・・可愛い。」

ピチュー「え?」

ドレディア「・・・・・・・・・・・。」

ゴルーグのお腹をなでなでしはじめるドレディア。多分頭を撫でたいんだろうが、ゴルーグがでかすぎて手が届かないのだろう。

トゲピー「トゲー!おねえちゃん、ゴーちゃんのこと好きみたい!」

ピチュー「ねえ聞いてよお姉ちゃん!僕らの兄ちゃんね、ゴーちゃんと暮らしちゃダメって言うんだ!だから兄ちゃんにお姉ちゃんからもなんとか言って頼んで!お願い!」

トゲピー「トゲ〜!お願い〜!!」

ドレディア「・・・・・・。」

頷くドレディア。

ピチュー「やった〜!味方ができた!」


ツボツボ「ケケケ。よお。ピチュー達じゃねえか。今日もいじめてやろうか?ケケケ。」

ピチュー「あっ!ツボツボ君だ!」

ゴルーグ「・・・ゴー。」

ツボツボ「うわっ!なんだこいつ?や、やるのか?」

ゴルーグ「・・・・・・・。」

何も言わずに棒立ちのゴルーグ。

ツボツボ「・・・。って何もしないのかよ!驚かせやがって!このやろう!いじめてやる!」

ピチュー「うわ〜、やめてよ〜!」

トゲピー「トゲー!」

ゴルーグ「・・・ゴー!」

ピチュー達のピンチに、ゴルーグは大きな腕でツボツボをつかんだ。

ツボツボ「うわっ!なんだ!は、離せ!」

そしてたちまち、ゴルーグはツボツボを折りたたんで遠くへ放り投げてしまった。

ピチュー「あの硬い体のツボツボ君をどうやって折りたたんだの?」

ドレディア「・・・・・それは各々でイメージして・・・。」


ホーホー「おお、いたいた。おいピカチュウ!坊主どもが見つかったぞ!」

ピチュー「あ、ホーホーおじちゃん!」

ピカチュウ「ピチュー!トゲピー!」

ピチュー「兄ちゃん!」

ピカチュウ「まったくもう!探したよ!心配ばかりかけて!」

ピチュー「兄ちゃん!やっぱり僕たちはゴーちゃんと一緒にいたい!!」

トゲピー「トゲ〜!一緒!一緒!」

ドレディア「・・・・・・・・・・・。」

ピカチュウ「わっ。ドレディアさん。な、何?」

ドレディア「・・・・・・・・・・・はぐれポケモンのお世話は、子供の思いやりや責任感を育む・・・。」

ピカチュウ「は、はあ・・・。ピチュー達に何か言われた?なんかごめんね・・・。」

ピチュー「ねえ兄ちゃんお願い〜!!」

トゲピー「トゲ〜!お願い〜!!」

ピカチュウ「・・・はあ。わかってるよ。とにかくおいで!」


寮に戻ってきたピカチュウ達。

ピカチュウ「ほら、ここ。寮の上の階をそいつのために借りてあげたから僕の卒業まではそこで暮らしてもらいな!」

トゲピー「トゲー!本当!?」

ピチュー「わ〜い!やったねゴーちゃん!」

トゲピー「トゲー!よろこびのダンス!」

ゴルーグ「ゴー!ゴー!」

ピカチュウ「うわ、ダンスはやめろ!」

ミシミシと音を立てる床は、ゴルーグの巨体で踊るダンスに耐えられず、とうとう底が音を立てて抜けてしまった。

ドンガラガッシャアアアアアアアン!!!

アブソル「うぎゃああああああああ!!!」

下の階はアブソルの部屋で、たちまちゴルーグに押しつぶされてぺしゃんこになってしまった。

ピカチュウ「あちゃ〜!言わんこっちゃない!お〜い!ごめんよアブソル!今日からこのゴルーグが上に住むからよろしく〜!」

アブソル「よ、よろしく・・・。がくっ。」
続く


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