正月!ピカチュウ達は初詣にポケモン神社へとやってきました。
ピカチュウ「・・・ん?あ、ヤドランとヘラクロス!来てたんだ。」
プリン「悪役2人揃ってお参り?」
ヤドラン「ちょ、悪役とか言うな!」
ヘラクロス「へへ!新年からプリンと会えるなんてついてるぜ!」
プリン「はいはい。ねえピカチュウ君、私たちもおさい銭投げてお願い事しよう?」
ピカチュウ「お願い事かあ・・・。」
ピカチュウ達はさい銭を投げ、鈴を鳴らした。
ヤドラン「じゃ、俺たちも改めて。」
レオン「(ロコンちゃんと何か進展がありますように・・・。)」
プリン「(ヘラクロスが寄って来ませんように・・・。)」
ヤドラン「(ロコンちゃんと復縁できますように・・・。)」
ヘラクロス「(プリンが俺の事を好きになってくれますように・・・。)」
???「こりゃああああああ!!!」
ピカチュウ「・・・ん?うわっ!誰!?」
エンテイ「お前らっ!!なんでそんな相反する願いをするんじゃあ!叶える方の身にもなってみろ!!」
・・・。
ピカチュウ「あ、もしもし?警察ですか?さい銭泥棒です。」
エンテイ「さい銭泥棒じゃないわいっ!!ワシはエンテイ!神のポケモンじゃ!」
ピカチュウ「あ、もしもし?救急車お願いします。頭がおかしい人がいるんです。」
エンテイ「こりゃあああ!!ワシの話を聞け!」
ヤドラン「なんなんだよおっさん。こっちは忙しいんだよ。」
エンテイ「あのなあ、最近ポケモン島も段々と物騒になってきたじゃろ?だからワシは新年くらいお前たちに良い思いをさせてやろうと思って願いを叶えにはるばるとやってきたわけじゃ。そこをお前らと来たら・・・。」
ヘラクロス「願いを叶えられるのか!?」
ヤドラン「ぜ、是非お願いします!」
レオン「ぼ、僕も!」
プリン「ちょっと待ってよ皆!本当に願いを叶えてくれるかどうかわからないでしょ!?うさんくささ満開じゃないの!」
エンテイ「本当じゃもん。ワシ、今年の正月だけ特別にポケモンの願っていることがわかる力とその願いを叶える力を授かっとるんじゃ。今日だけじゃぞ。今日だけ。試しに誰か叶えてみるか?」
ヘラクロス「俺!俺!」
ヤドラン「いいや、俺だ!」
レオン「ぼ、僕だって!」
エンテイ「心配するな。全員かなえてやるから。そんじゃ、お前から。さっき願っとった奴を念じてみ?」
ヘラクロス「よっしゃ!えっと、俺の願いは・・・」
エンテイ「ああ、口に出さんでええ。えっと・・・プリンが俺の事を好きになってくれますように、じゃな?」
ヘラクロス「そ、そうです!お願いします!」
プリン「ちょっと待ったあああ!!私の願いも叶えなさい!」
エンテイ「む?ヘラクロスが寄って来ませんように?だーっ!さっきも言ったじゃろうが!相反する願いをするな!どっちを叶えていいかわからんじゃろうが!」
プリン「そんなの簡単でしょう!?あいつは私をさらったりいつもつきまとってくる変態よ!?神は正しい者を救うものでしょう!?」
エンテイ「いや知らないし!ワシら今日始めて会ったんじゃろうが!」
ヘラクロス「俺!俺!俺が先だろ!?」
エンテイ「ええい、うるさい!・・・して、お前達、さい銭はいくら入れた?」
プリン「50ポケ円。」
ヘラクロス「100ポケ円。」
エンテイ「よし、カブトムシ。お前の願いにしよう。」
ピカチュウ「おいっ!何で神がさい銭の金額で叶える願いを決めるんだよ!?」
エンテイ「だってこうでもしないと決められないじゃろ。それにこのさい銭、今日のワシの給料になるしのお。」
プリン「待って待って!なら私、もう500ポケ円追加するわ!」
ヘラクロス「な、なら俺は1000ポケ円追加だ!」
プリン「ちょっとあんた!ここはおとなしく引き下がりなさいよ!」
ヘラクロス「ダメだ!いくらプリンの言うことでもここだけは譲れない!!」
エンテイ「仕方ないのお。2人でよ〜く話し合って決めるんじゃぞ?で、そこの2人。確かお前達の願いも共存できない願いだったのお。」
ヤドラン「・・・レオン、やっぱりお前もか。」
レオン「・・・。」
エンテイ「して、さい銭は?」
レオン「ご縁があるように、と。5ポケ円。」
ヤドラン「同じく。」
・・・。
エンテイ「ど・ち・ら・に・し・よ・う・か・な」
ピカチュウ「古い決め方だーーー!!」
エンテイ「て・ん・の・か・み・さ・ま・の・・・あ、天の神様ってワシじゃった。てへっ。」
ヤドラン「いいから早くしろ!」
エンテイ「やっぱエンテイ様の言うとおりにしよう。よし。それでいこう。エ・ン・テ・イ・さ・ま・の・い・う・と・お・り!」
エンテイの指差した先にはレオンが立っていた。
レオン「やった!僕だ!」
ヤドラン「ま、待て待て!やっぱり言葉を変えるのはまずいでしょう。ここは天の神様のままで行きましょうよ。な?な?」
レオン「だ、ダメだよ!もう決まったんだから!」
エンテイ「ん〜・・・そういや忘れてたが・・・。」
ヤドラン「あ?」
エンテイ「恋愛とかなんとか誰かの心を動かすような願いは叶えられないんじゃった。すまんすまん。」
ヤドラン「はぁ!?ふざけんな!」
レオン「それじゃあこの願い叶えられないじゃないか!」
ヘラクロス「俺達の願いもだ!」
プリン「期待させるんじゃないわよ!」
エンテイ「ちょ、痛い痛い!よせ!ワシは神じゃぞ!痛い、わかった悪かった!ごめんってば!殴らないで!蹴らないで!いてててて!!」
ピカチュウ「ほらほら皆!気持ちはわからないでもないけど、欲望にまみれた姿は見苦しいよ?やめなって。」
プリン「ピカチュウ君は黙ってて!」
ヘラクロス「プリンの言うとおり!プリンの言うとおり!」
レオン「そうだよ!これは僕たちの問題なんだ!」
ヤドラン「この電気ネズミ!」
ピカチュウ「何で僕が責められてるの!?っていうかヤドランこの野郎!誰が電気ネズミだ!」
エンテイ「まあまあ。そう怒らないで・・・。」
ピカチュウ「あんたが原因だろうが!!」
プリン「大体あんた、本当に願いを叶える力なんてあるわけ?未だに証明できてないじゃない。」
エンテイ「あ、まだ疑ってるんだ。よし、見とれ。これから来るポケモン達の願いを叶えてやるから。お前らも隠れて見とれ!え〜と、あいつの願いは・・・。」
次々にやってくるポケモン達。
サワムラー「(ブースターといつまでも一緒にいられますように・・・。)」
エビワラー「(ブースターといつまでも(以下略))」
カイリキー「(ブースターと(以下略))」
サンダース「(ブ(以下略))」
フーディン「(借金を全て返済して余るくらいの金を・・・。)」
ホーホー「(我がホーホー隊の世界征服・・・。)」
オニスズメ「(サナちゃんと交際・・・。)」
ラティアス「(兄貴を消して。本気で。)」
うめぼし「(うむあ〜。)」
エンテイ「がーっ!!なんという自分勝手な願いばかりじゃ!」
ヤドラン「ほら、早く誰かの願い叶えてみろよ。」
ヘラクロス「神なんだろ?あぁん?」
エンテイ「そんなこと言ったって自分勝手な願いばかりじゃ叶える気も失せるわい!」
プリン「願いなんてほぼ全てが自分勝手なものよ。」
エンテイ「け、決してそんなことは・・・。あ!あいつじゃ!あいつの願いじゃ!」
ミュウ「(東ポケ大学に受かりますように・・・。)」
エンテイ「その願い、叶えてしんぜよう。」
ピカチュウ「本当に受かるんだろうな?」
エンテイ「ん?あ〜、ああいうタイプはワシがほっといても受かるから心配ないんじゃね?どうせお前らも受験シーズンには今日あったことなんて忘れとるじゃろうし。」
ピカチュウ「インチキ!やっぱりあんた、ただのさい銭泥棒だろ?」
エンテイ「何!?違うわい!ええい、ならばあいつの願いじゃ!」
ヤルキモノ「(今年もいい汗が流せますように・・・。)」
エンテイ「叶えてしんぜよう。」
エンテイが念じると、ヤルキモノの前に不思議な光があふれ、次の瞬間、ヤルキモノの手元には・・・
ヤルキモノ「む?サウナの無料券?」
ピカチュウ「あ〜、なるほどサウナでいい汗を・・・って馬鹿!なんだよこのしょぼい叶え方は!」
エンテイ「な、なんじゃ!叶えて見せたら見せたで文句ばっか言いおって!でも見たじゃろう?これでワシが神だってことわかったよな?ほれ、敬え敬え!」
レオン「・・・なんかあまり敬う気になれないんだけど。」
ヤドラン「俺も俺も。」
エンテイ「むう。見とれ!どんどんワシの凄さ見せちゃる!」
ボーマンダ「(うまいもんが食えますように・・・。)」
エンテイ「叶えてしんぜよう。」
エンテイが念じると、ボーマンダの前に不思議な光があふれ、次の瞬間、ボーマンダの手元には・・・
ボーマンダ「・・・うまい棒?」
ピカチュウ「だから叶え方が安いんだよ!確かにうまいけれども!」
エンテイ「いいじゃろうが!あいつが払ったさい銭だって10円だから等価交換じゃ!次!次!」
カラカラ「(今年こそはいじめられなくなりますように・・・。)」
エンテイ「叶えてしんぜよう。」
ゴトッ!
カラカラ「・・・ダンベル?」
ピカチュウ「あれで身体を鍛えろってか!?結局本人任せじゃん!」
エンテイ「あ、当たり前じゃ!自分が苦労せずに願いを叶えてもらおうなんて甘すぎる!次じゃ!」
キルリア「(も〜っと可愛くなれますように☆)」
エンテイ「叶えてしんぜよう。・・・っていうかもう十分可愛いぞい。そのクリっとした目とかキュッとしたお尻とか。」
ピカチュウ「何考えてんだ!この変態神!」
ヘラクロス「エロジジイ!」
プリン「最低!」
エンテイ「おわー!!だから暴力はやめい!こんなことして仲間のスイクンとライコウが黙っとらんからな!知らんぞ!もう知らんぞ!いてててて!次!次はちゃんとやるから!」
チコリータ「世界中の皆が怪我や病気をせず幸せに暮らせますように・・・。」
エンテイ「ぬ・・・ぬう・・・。」
ヤドラン「お、よかったじゃねえか。お前の好きな自分勝手じゃない願いが来たぞ。叶えてみろよ神様。」
エンテイ「う・・・うう・・・。いや、あの〜・・・これはちょっと願いが大きすぎるというか何というか・・・その・・・。」
ヤドラン「あぁ!?ハッキリ言えよ!出来ないんだろ!?」
エンテイ「ああ出来ねえよ!!出来ませんが何か!?あんな願い叶えられるならとっくに叶えて平和な世界にしとるわい!
っていうか逆に聞きますがね、君たちにダンベルやサウナ券を一瞬で出す力はありますか!?ないじゃろうが!
元々ワシだってなあ、些細な願いを叶える程度の力しか授かってないんじゃ!些細な願いだけ叶えるつもりで今日はここに来たんじゃ!正月なのに休みもなしでな!
それなのにさい銭の額は年々減ってきとるし、神を敬おうという気がちっとも感じ取れん!あ〜あ、こんなことなら来なきゃよかった!あ〜あ、損した!」
ピカチュウ「逆ギレだー!!」
ヤドラン「結局てめえに力が無いだけだろうが!何逆ギレしてんだよ!」
エンテイ「ふ〜んだ。どうせワシに力なんてありませんよ〜だ。ど〜うせワシなんか低級な神じゃしな。だがワシだって残念じゃ。些細な願いとはいえ叶えてあげれば皆喜ぶと思って来たのに。なんか・・・ガッカリじゃ。
万年ダメな神だのダメな伝説ポケモンだの言われてきたワシでも皆を笑顔にしてあげられると思ってさ、正月から頑張ってたのにさ。もう本当・・・残念じゃよ・・・。」
ピカチュウ「今度はひがみはじめたー!!」
レオン「な、何かものすごく悪いことした気がしてきた・・・。」
泣きべそをかきはじめたエンテイの肩にそっと手がのびる。
ピカノ「・・・飲むか?」
エンテイ「グスッ・・・。うん。」
ピカチュウ「ピカノ!どこから出てきた!?」
リザードン「そうだ飲め飲め!嫌なことなんか忘れようぜ!」
プクリン「きゃはははははははは!きゃははははははははは!きゃははっ!!」
校長「校長の一発芸シリーズ!初日の出!ってこれワシの頭じゃ〜ん!」
ピカチュウ「うわ、皆来た!」
エンテイ「グビ・・・グビ・・・。」
ピカノ「お、いい飲みっぷりだな!ガハハ!」
エンテイ「ぶはあっ!!いや〜、なんかもう自分が神であることとかどうでもよくなってきちゃったなあ〜!ワシは普通のポケモンになりた〜い!ってか!」
リザードン「そうだ!その意気だ!もう一杯いけ!」
エンテイ「グビグビ・・・。大体よ〜、神のポケモンだの伝説のポケモンだの言ったって他のポケモンと何も変わらないんじゃ。そこを皆わかっとらん!」
ピカノ「わかる!わかるよ〜!その気持ち!」
ピカチュウ「何でわかるんだよ!お前は普通のポケモンだろ!」
ピカノ「ガハハ!そだっけ?んなことよりピカチュウ達も来いよ!」
プリン「あ〜もう!お酒くさっ!」
ピカチュウ「はぁ・・・。行こう行こう。」
ピカノ「おい!なんだよ釣れねえなあ。」
ピカチュウ「ねえ、ピカノ達じゃないけどさ、僕たちもこの後どこかでご飯でも食べない?」
プリン「うん、いいよ〜。」
レオン「いいねえ。せっかくだからヤドラン君とヘラクロス君もどう?お正月くらい仲良く。」
ヤドラン「そ、そうか?そういうことなら・・・。」
ヘラクロス「よし、行くか!」
次の日の朝、エンテイが目を覚ましたのは何故かラプラスの背中の上だったとさ。
続く
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