デリバード「はぁ〜あ・・・。一昨年のクリスマス(第63話参照)にサンタの仕事失敗してまた見習いに逆戻りになって2年か・・・。」
オドシシ「そりゃあなあ・・・。ありゃダメだって。クビにならなかっただけマシでしょ。」
デリバード「いいや、あれは俺のせいじゃない!俺の担当地域が悪かった!なんだあそこのガキ共は!注文がメチャクチャだ!俺はちゃんとおもちゃ買っていったのにほとんど使わなかったぞ!」
オドシシ「だからさ〜、そういう思考がダメなんだよ。サンタなんだから最近の子供のニーズを理解して受け入れなきゃ。」
デリバード「ぐっ・・・!正論だ!」
オドシシ「っていうかお前のパートナーやらされたせいで俺までトナカイ見習いに逆戻りだぜ?泣きたいのはこっちだっつーの。」
デリバード「おいおいオドシシ〜。そりゃないんじゃないの?俺たちは昔から2人で1つだったじゃないか。地元じゃ負け知らず。そうだろ?」
オドシシ「お前、この前ウザいからって先輩サンタにボコボコにされたばっかじゃねえか。」
デリバード「あ、あれは地元じゃないからいいの!」
オドシシ「大体、昔からっつっても俺らが初めって会ったの、たかだか6年前だろ?俺ら24歳じゃん。まだ人生の4分の1程度しか共有してねえし。」
デリバード「いやいや。6年も共有すれば十分さ。俺は誰よりもお前の事を知ってるね。」
オドシシ「馬鹿言え。お前が俺の何を知ってるってんだよ。」
デリバード「オドシシ、24歳。ポケモン島西地区生まれ。特性は威嚇。お気に入り技は突進。ポケモン高校卒業後、ポケモン島サンタ養成専門学校トナカイ科に入学。その後、憧れのサンタ業に就職し現在に至る。好物は鹿煎餅。先日、家のじゅうたんにカップ麺のスープをこぼして買い換えた。」
オドシシ「本当に詳しいな!なんでじゅうたんのことまで知ってんだよ!気持ち悪っ!」
デリバード「さらに1週間前、長年交際していた同種のオド美にフラれる。」
オドシシ「やめろ〜!!オド美のことは言うな〜!!大体、俺がフラれたのはいつまでたってもサンタの仕事が出来ないからだ!お前のせいで見習いにならなければ・・・!」
デリバード「何い!?自分がフラれたのを俺のせいにするのか!?」
オドシシ「実際そうだろうが!このダメポケモン!」
デリバード「ぬが〜!もう許さん!ぎゃふんと言わせてやる!」
オドシシ「お?やるか!?」
オドシシの突進!
デリバード「ぎゃふん!」
オドシシ「・・・お前、本当に弱いな。地元じゃ勝ち知らず。そうだろ?」
デリバード「はい・・・。」
オドシシ「・・・まあ、今のは俺も悪かったよ。すまん。ほら、立てよ。」
デリバード「い、いや。俺の方こそすまん。」
オドシシ「ふぅ・・・。」
デリバード「はぁ・・・。いつサンタに戻れるんだろうな、俺ら。何しろ一年に一度しかチャンスが無いからなあ・・・。」
オドシシ「・・・でもさ〜、もう男のサンタって時代遅れだと思わねえ?」
デリバード「どういうことだ?」
オドシシ「これからはあれだ。サンタガールの時代だ。サンタ=ジジイのイメージはもう古いね。」
デリバード「サンタガール?」
オドシシ「サンタのコスチューム着た女の子のことだよ。みたことあるだろ?もちろん寒くてもミニスカな。」
デリバード「・・・そ、それは少しいいかもしれん。」
オドシシ「だろ!?大体、よく考えてみ?夜中にジジイが忍び込んでくるなんて怖くねえ?ホラーじゃん。ホラー。」
デリバード「た、確かに・・・。」
オドシシ「そこをほら、夜中に忍び込んでくるのがサンタコスの女の子だったらどうよ?」
デリバード「な、なんかちょっとエッチな感じだ!」
オドシシ「だろ!?だろ!?俺たちパートナーのトナカイはサンタガールにムチうたれながら走るわけよ!」
デリバード「おおっ!いいな〜トナカイ!俺もトナカイならよかった!しかしあれだな!そんなサンタなら子供よりむしろ大人のところに来てほしいな!」
オドシシ「プレゼントよりサンタさんをくださいみたいな!」
デリバード「クリスマスのみならず毎晩来ませんか?みたいな!」
デリバード&オドシシ「くぅ〜!!たまらん!!」
先輩サンタ「おいコラお前ら!何ベラベラ喋ってんだ!そこの荷物届けて来い!でないと俺がお前らに死を届けるぞ!」
デリバード&オドシシ「はいっ!わかりました!」
サンタ見習いとは・・・いわゆる運送業の仕事のことであった。
デリバード「ふう。今日もトラックで荷物配達かあ。車よりソリの運転がしたいなあ。大体、俺さー、車の運転苦手なんだよね。ぶっちゃけ。」
オドシシ「お前、言っとくけどソリの運転もそんなに上手くないぞ。ぶっちゃけ。」
デリバード「はっはっは。馬鹿を言うなオドシシ。俺はソリ免許取得試験に6回目で受かった男だぜ?」
オドシシ「5回も落ちてんじゃねえか。自慢げに言うな。大体よー、お前のソリの運転荒いからトナカイの俺が疲れるんだよ。ほら、そんなことより仕事とっとと終わらすぞ。まずはどこだ?」
デリバード「え〜っと・・・ラフレシアさん家のキレイハナさん宛てだ。ケーッ!いきなり金持ちの家かよ!」
オドシシ「あ〜あ。やる気無くすなあ。」
グチグチいいながらデリバードは車をキレイハナ家へと進めた。
キレイハナ家
デリバード「ひえ〜。前にも来たけど本当にでかい家だなあオドシシ。」
オドシシ「ああ。何か酔いそうになるよな。」
デリバード「どっから入るんだ?前にサンタの仕事で来たときは窓から侵入したが。」
そこへ、大きくて黒い車がやって来て、デリバード達の前に止まった。
キレイハナ「あなた達!何をしているんですの!?」
ルギア「むっ!うろうろして怪しい奴らめ!」
デリバード「あ、ちょうどいい所へ。いつも心はクリスマス。サンタ運送で〜す。」
キレイハナ「あら。宅配便ね。ご苦労様。」
ルギア「お嬢様。危険物の恐れがございますので、私が中身を確認いたします。」
ルギアは慣れた手つきで小包を開けた。
ルギア「・・・こ、これは!お嬢様!」
キレイハナ「どうしました?あっ!」
デリバード「さ〜て、次の場所だぞオドシシ。」
キレイハナ「ちょっと待ちなさい!」
デリバード「はい?」
キレイハナ「何ですかこれは!」
デリバード「はぁ・・・。え〜と、『フーディンの占い読本・改訂版』ですね。送り主はフーディン様からとなっていますが・・・。」
キレイハナ「こんなものいりませんわ。嫌がらせもいいとこ。」
デリバード「そう言われましても・・・。我々、ただ持ってきただけなので。」
キレイハナ「とにかく、持ってかえってちょうだい。」
デリバード「はぁ・・・。」
オドシシ「どうすんだ?それ。」
デリバード「持ってかえれって言われてもなあ。」
オドシシ「あっ!見ろ!同じ小包がここら辺の地域のポケモン達みんなに送られているぞ!!」
デリバード「うわ〜。これ絶対クレーム来るよ〜・・・。どうする?」
オドシシ「・・・捨てちまうか?」
デリバード「いやいやいや・・・。それはまずいでしょ。」
オドシシ「でも送り主側一件からのクレームと送られる側の大量のクレームだったらどっちがいいよ?」
デリバード「う〜ん・・・。」
オドシシ「大体こんなの不幸の手紙配ってるようなもんだぜ?この本を捨てることは正義だよ正義。」
デリバード「・・・そうだな。捨てよっか。」
こうして大量の本が不法投棄された。
キモリ「お、本が捨ててある。一冊持って帰るか。」
フーディン「ふふふ。島の皆も無料で私の本が読めるとは幸せ物だなあ。うん。しかも!あの本には『週間フーディン占い』の定期購読申込書もついているのだ!」
ユンゲラー「いよっ!兄さん太っ腹!」
デリバード「次は?」
オドシシ「シャワーズさんの家だ。」
デリバード「すいませ〜ん!いつも心はクリスマス。サンタ運送で〜す!」
ドアが少しだけ開く。チェーン付きで。
シャワーズ「だ、誰ですか・・・・・?」
デリバード「いつも心はクリスマス。サンタ運送です。」
シャワーズ「し、知らない人怖い・・・・・。」
デリバード「い、いえ。自分達怪しい者じゃないんで。宅配便なんで。ハンコかサインお願いできます?」
シャワーズ「・・・。」
シャワーズはドアを閉めてしまった。
デリバード「あれ?ちょっと〜!すいませ〜ん!」
オドシシ「きっとお前の顔が怖いんだよ。」
デリバード「何?お前の顔の方が怖いだろう!」
オドシシ「お前、痴漢とかしてそうな顔してるぞ?」
デリバード「何い?よ〜し、俺のスマイルを見ていろよ!すいませ〜ん!サンタ運送で〜す!お届け物で〜す!開けてくださ〜い!」
シャワーズ「・・・。」
オドシシ「お、出てきた。」
シャワーズのとける!
オドシシ「あ、やっぱりお前の顔が気持ち悪かったんだ。」
デリバード「くっ・・・。じゃあお前がやれ!」
オドシシ「はいはい。すいませ〜ん。ポケモンDVDショップ様からお届け物で〜す。」
シャワーズ「はい!今行きます!」
シャワーズは勢いよくドアを開けた。そしてデリバードはそのドアにぶつかった。
オドシシ「はい、確かに。ありがとうございました。失礼しま〜す。」
シャワーズ「(ポケモンお笑いグランプリのDVDやっと来た〜。嬉しいな〜。)」
デリバード「さて、次はここか。オニスズメ隊本部。すいませ〜ん!いつも心はクリスマス。サンタ運送で〜す!」
オニスズメ「馬鹿!声がでかい!!」
デリバード「え?はぁ。どうもすいません。お届け物です。」
オニスズメ「ふん。ご苦労。ほら、ハンコだ!とっとと出て行け!」
デリバード「はぁ。では失礼します。」
オニスズメ「・・・中身、見てないだろうな?」
デリバード「え?見てませんけど。」
オニスズメ「そ、そうかそうか!おい!言っとくけどあれだからな!この荷物は決してサーナイト写真集『サナ色』やサーナイトDVD『サナサナDAYS』ではないからな!!」
デリバード「(言っちゃってるよこの人〜!)」
オドシシ「いいですよねえ。サナちゃん。」
オニスズメ「うんうん!特にあの胸元の赤い突起が・・・って違うって言ってんだろうが!いや、でもあれだよ?嫌いなわけじゃないよ?むしろ少しかわいいとは思うよ?うん。でも別にファンってわけじゃあ・・・。」
オドシシ「なんだろうなあ。さっきの奴。ファンならファンで堂々としてりゃあいいのに。」
デリバード「そう言うなオドシシよ。複雑な事情があるのさ。さて、次だ。ポケモン高校寮のテッカニンさん宛て。すいませ〜ん!いつも心はクリスマス。サンタ運送で〜す!」
テッカニン「届け物?ふむ。ネット通販で頼んだ煙玉30個セットが届いたでござるな!よし!入って来いでござる!」
デリバード「失礼しま〜す。って痛え!なんか踏んだ!画鋲だ!」
オドシシ「痛えっ!!」
画鋲を踏んだ拍子にオドシシは荷物を落としてしまった。と、同時に黒い煙が上がってきた。
テッカニン「ああっ!拙者の煙玉セットが全て発動してしまった!どうしてくれるでござる!!」
デリバード「ゴホッ!ゴホッ!なんて煙だ!!」
オドシシ「とりあえずこっから出るぞ!」
ピカチュウ「うわっ!隣の部屋から凄い煙が!きっと火事だ!ピチュー、トゲピー!逃げるよ!!」
デオキシス「火事いいいいいいいいいい!!火事いいいいいいいいい!!ひゃああああああああああおおおおおおおおうっ!!!!!」
ヤルキモノ「火事だと!?心頭滅却すれば火もまた涼し!来い!火よ!たとえ火事でも俺は逃げも隠れもせんぞ!!うおおおおおおおお!!」
マクノシタ「火事!?ぼ、ぼ、僕のコレクションが危ないっ!!僕の萌え萌えコレクションが燃え燃えになっちゃううう!!」
アブソル「ううっ。今度は火事かあ・・・。」
テッカニン「貴様ら〜!後で覚えていろ〜!で、ござる!!」
デリバード「次はペルシアンさんの家か。」
オドシシ「なんかずいぶんたくさんあるな。うわ、これ全部女の子からのプレゼントだ。けーっ!」
デリバード「どうも〜!いつも心はクリスマス。サンタ運送で〜す!」
ペルシアン「ご苦労様です。サインでいいですか?」
オドシシ「・・・。」
デリバード「結構ですよ。はい、確かに。ありがとうございました。失礼しま〜す。」
オドシシ「・・・。」
デリバード「さて、次・・・。ん?どうした?オドシシ。」
オドシシ「今・・・荷物の差出人の名前の中にオド美の名前が・・・。うわああああああああああ!!オド美いいいいいい!!」
デリバード「お、落ち着けオドシシ!!」
オドシシ「うう・・・。お前が一昨年フラれたデリ代の名前もあったぞ・・・。」
デリバード「・・・。デリ代おおおおおおおおお!!うおおおおおおおおおお!!」
オドシシ「お、落ち着け!気持ちは痛すぎるくらいよくわかるぞ!!」
デリバード「ちきしょー!これでもくらえ!!」
バリーン!!
オドシシ「・・・おい、今お前何を投げた?」
デリバード「う、こ、小包・・・。」
オドシシ「あ〜あ!何やってんだよ!馬鹿か!?絶対何か割れたぞ今の音!」
デリバード「ど、どうしよう・・・。」
オドシシ「くそっ。仕方が無い。とりあえず届けるぞ。」
デリバード「ど、どうも〜!いつも心はお正月!サンタ運送で〜す!」
オドシシ「緊張のあまり間違えてるぞ。クリスマスだクリスマス。」
校長「おお、来たか。いや〜、実はこれ、高価な壺なんじゃ。待ちわびたぞ。」
オドシシ「では、どうぞ。」
オドシシは重い荷物を渡すと同時に、校長を荷物ごと軽く押した。
校長「おわっ!」
ドンガラガッシャーン!
オドシシ「あ、大丈夫ですか?やはりお年寄りには少し重かったみたいですね。」
校長「うう、壺は・・・?ああっ!割れとる!!」
オドシシ「あ〜、残念ですが今のはお客様の過失によるものなので、サンタ運送の方では責任を取りかねます。あ、それでは次の仕事があるので失礼します。」
校長「な、なんじゃとお!?」
デリバードとオドシシは逃げるように去っていった。
オドシシ「なんとか切り抜けられたな・・・。押したのがバレてたら終わってたぜ。」
デリバード「あ〜、やれやれ。オドシシ、お前もなかなか危ないことするなあ。で、次は?」
オドシシ「え〜と・・・たまごっち星三丁目だ。」
デリバード「宇宙!!?どうすんだよこれ!ってかどう見ても俺らの担当区域外だから!できるかこんなもの!!」
オドシシ「じゃあどうすんだよ。また捨てるか?バレたらクビだぞ?サンタに戻るなんて夢のまた夢。」
デリバード「ク、クビ・・・。」
オドシシ「でもなあ。宇宙じゃなあ。」
デリバード「ええい!行くぞ宇宙!行けばいいじゃないかもう!」
オドシシ「お、おいおい。待て待て待て。宇宙っつったって行けるわけないじゃん。用は俺が言いたいのは多分これはイタズラか間違いのどっちかだから持ってかえってだな・・・。」
デリバード「宇宙船だ!宇宙船を持って来い!」
オドシシ「あるかそんな物!話を聞け!」
スピアー「ありますよ。宇宙船。」
オドシシ「何!?っていうか誰あんた!」
スピアー「申し遅れました。私、旅商人のスピアーです。宇宙船をお探しのようで。どうです?安くしておきますよ?」
デリバード「よ、よし!買った!いくらだ!?」
スピアー「29800ポケ円です。分割も可。」
デリバード「う〜む・・・。よし、出せオドシシ!」
オドシシ「おい!俺だってオド美にかなり貢いでたから金ないんだぞ!少し出せよ!」
デリバード「え〜い!サンタに戻れるなら仕方がない!持ってけドロボー!!」
スピアー「はい、毎度あり〜。じゃ、この地図に載ってる私の倉庫に止めてあるんで、勝手に持っていってください。防犯登録とかもそちらの方でお願いしますね。」
デリバード「よっしゃ〜!待ってろ宇宙!今荷物を届けてやるぜー!!!」
オドシシ「くそ〜!もうどうにでもなりやがれ!!出発!」
宇宙船は音を立てて勢いよく飛び立った。
デリバード「いや〜、オドシシ。よく考えてみると宇宙なんて滅多に来れないぞ。貴重な体験だな!はっはっは!」
オドシシ「まあな・・・。」
デリバード「だろ!?う〜ん。星が綺麗だな〜!あれはクラブ座の星か?」
オドシシ「メリープ座。」
デリバード「あれはケンタロス座か?」
オドシシ「スコルピ座。」
デリバード「・・・。はっはっは。どの星がどの星座かなんてどうでもいいのだ!いや〜、それにしても綺麗だなあ!」
オドシシ「そんでさあ、たまごっち星って何処よ?」
デリバード「んん?なんだ、そんなことも知らんのか。たまごっち星っていうのはなあ。」
・・・。
デリバード「ど、どこだろう・・・。」
オドシシ「あぁ?なんだよもう。そこら辺は調べとけよな。」
デリバード「は、はっはっは!心配するなオドシシよ!こんなこともあろうかと地図を持ってきたぞ!」
オドシシ「・・・ポケモン島の地図じゃないだろうな?」
デリバード「その通りだ!」
オドシシ「だーっ!やっぱりダメじゃねえか!ったく。ほら、早く戻るぞ。」
デリバード「仕方が無いな。進路を我が星に・・・。ん?我が星?我が星・・・。」
・・・。
デリバード「我が星ってどれだ・・・?」
オドシシ「さ、さあ・・・。」
デリバード「うわあああああ!!誰か助けてくれえええええええ!!!」
たまっち「わはは。たまごっち星の皆、元気にしてるもんかねえ。わははははは。」
続く
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