ピカチュウ「ただいまー・・・。」

ピチュー「兄ちゃんおかえりー。早かったね。学校は?」

ピカチュウ「早退してきたよ。なんだか熱っぽくてさ。」

ピカチュウは体温計を取り出した。

ピカチュウ「うわ〜、やっぱり熱がある。レックウザの奴に夏風邪うつされたみたいだな・・・。いや、あいつのは『夏風邪』じゃなくて『年がら年中風邪』か。」

トゲピー「トゲー。だいじょぶ〜?」

ピカチュウ「うん。大丈夫大丈夫。少し寝れば治るよ。」

ピチュー「大丈夫じゃないよ!ほっぺが赤いもん!」

ピカチュウ「いや、それ元からだから。わかってて言ってるでしょ。本当に大丈夫だから。ごほっ、ごほっ。」

トゲピー「トゲー。ピチュー兄ちゃん、ピカチュウ兄ちゃんを看病してあげようよー。」

ピチュー「トゲピーいいこと言うね。よし、看病してあげよう!」

ピカチュウ「ははは。ありがとうピチュー、トゲピー。」

ピチュー「ほら、寝て!寝て!」

トゲピー「トゲー!濡らしたタオル持ってきたー!はい!ピカチュウ兄ちゃん!」

ベチョッ!

ピカチュウ「トゲピー、少しは絞って・・・。ぐっしょりじゃん・・・。」

ピチュー「もー!なにやってんだよトゲピー!」

トゲピー「トゲー。ごめんなさい・・・。」

ピチュー「やっぱり僕たちだけじゃダメだ。助っ人を呼ぼう。」

ピカチュウ「(助っ人?プリンとかかな・・・。助かった・・・。)」


数分後

ぜにぼう「来たよー!」

ププリン「ピカチュウおにいちゃんが病気って本当?かわいそ〜!」

ピカチュウ「(助っ人ってこの子達か・・・。そりゃそうだよなあ。だってプリン達はまだ学校だもん・・・。)」

トゲピー「ね〜ね〜!熱ってどうしたら治るの〜?」

ププリン「トゲピーったらそんなことも知らないの〜?熱はね〜、冷やすと治るんだよ!」

ぜにぼう「そうなの〜?じゃあこれでどうだ〜!」

ぜにぼうの水鉄砲!

ピカチュウ「うわあああああ!!はっくしょん!はあっくしょん!」

ピチュー「ぜにちゃんグッジョブ!」

ププリン「あれ〜?でもあんまり嬉しくなさそう〜。」

ピカチュウ「(これじゃ逆に風邪ひいちゃうよ!あ〜、ダメだ。もう喉がいかれて声がでない・・・。)」

ピチュー「兄ちゃん!ダメだよ起き上がっちゃ!」

ぜにぼう「じゃあ眠らせてあげようよ〜。」

トゲピー「トゲ〜。ね〜むれ〜ね〜むれ〜。」

ププリン「そんなんじゃダメ!こうするの!ププリンちゃんナックル!」

ピカチュウ「ごふっ!!」

ププリン「あれ〜。ダメだ〜。お姉ちゃんなら一発で眠らせられるのに〜。」

ピカチュウ「(それは眠るんじゃなくて気絶・・・。っていうかププリンちゃん、眠らせるなら『歌う』とか使えるでしょうが・・・。)」


更に数時間後

ピンポーン

サワムラー「おい!ピカチュウ!お前早退したんだってな!」

ピチュー「サワムラー兄ちゃんだ〜。」

ピカチュウ「(っていうことは学校終わったのか・・・。)」

サワムラー「おう坊主ども!お前たちもうつされないように気をつけるんだぞ!と、いうことで!サワムラー特性健康おじやを作ってきてやった!ブースターが風邪のときもこれで元気だしてもらったものだ!しかも改良を加えたスペシャルバージョン!」

ププリン「うわ〜。ありがとー。」

ピカチュウ「(ありがた迷惑!!)」

ぜにぼう「おじやか〜。いいな〜。」

トゲピー「トゲー。いいな〜。」

ピチュー「ダメ!これはピカチュウ兄ちゃんに食べさせてあげるの!」

ピカチュウ「(本当に僕のためを思うならそれを捨てるんだ!それはおじやじゃない!劇物だ!!)」

案の定、ピチューが抱えて持ってきたそれは、紫色の毒沼みたいな液体の中にスライムみたいなドロドロした物体などがゴテゴテ入っているとても食べ物とは呼べない代物だった。臭いも強烈で、理科の実験とかで使う薬物のような臭いがする。

ピチュー「はい、兄ちゃん!あ〜ん!」

ピカチュウ「(あ〜ん=死だ!!っていうかその見た目と臭いに違和感を感じないのか君達は!!)」

ピチュー「もー!兄ちゃん口あけてってばー!!」

ピカチュウ「(開けないぞ!絶対に開けないぞ!!)」

その時、ピカチュウが暴れたせいで、ピチューの持っていたおじやがピカチュウの寝ていた布団にこぼれた。

すると、こぼれた部分の布団はたちまち溶けてしまった。

ピカチュウ「(うわあああ!!どうやったらこんなもの作れるんだよ!ある意味天才だよ!)」

ピカチュウは尻尾でピチューの持っていたおじやを叩き落した。

ピチュー「ああっ!」

ぜにぼう「ピカチュウおじちゃんご機嫌ななめ〜。」

ピカチュウ「(あ〜あ。床が溶けていく・・・。どうしよう。まあそっちは後で考えるか・・・。)」

ププリン「きっとお腹すいてないんだよ〜。」

ピチュー「いっぱい食べなきゃ元気にならないのに〜。しょうがないなあ兄ちゃんは。」

ピカチュウ「(さっきのおじや以外なら何でも食ってやるよ!!)」


更に数分後

ピカチュウ「(うとうと・・・。)」

ピチュー「ようやく寝始めた〜。」

トゲピー「ね〜ね〜、他にすることは?することは?」

ププリン「えっとね〜、汗をかくといいって言ってたから部屋を暖めたら?」

ぜにぼう「さっきと言ってること違う〜!さっきは冷やすといいって言ってた〜!」

ププリン「わかんないけどとにかく汗かかなきゃダメなの!」

ピチュー「じゃあ暖房つけようか。」

ピチューは部屋の暖房の温度を最大にした。

ピチュー「後これもね。」

更にストーブを引っ張り出して、最大出力でスイッチを入れた。

ププリン「ここは暑いから向こうの部屋で遊ぼうよ〜。」

トゲピー「トゲー。あそぼあそぼ〜!」


ピカチュウ「・・・」

むしむしむし・・・

ピカチュウ「・・・・・」

むしむしむし・・・

ピカチュウ「(あっぢいいいいいいいい!!なんだこの部屋は!ストーブ!?暖房も!?なんだよこれ!ピチューたちだな!何を考えてるんだ!)」

ピカチュウはストーブの電源を切り、暖房を冷房に切り替えた。

ピカチュウ「(ふう。ピチューたちもいないし、これでのんびりと・・・)」

ピチュー「あ〜!!様子を見に来たらあんのじょうだ!部屋を涼しくしてる!!」

ピカチュウ「(・・・できないな。やっぱ。)」

ピチュー「も〜!ちゃんと汗かかないとダメでしょ!!」

再び暖房をつけようとするピチューに、声の出ないピカチュウは手で×印を作って必死に思いを伝えようとする。

ピチュー「・・・X(エックス)?」

ピカチュウ「(違う違う!)」

ピチュー「×(バツ)?」

ピカチュウ「(そうそう!暖房はダメ!ストーブもダメ!)」

必死にジェスチャーで表現するピカチュウ。

ピチュー「みんな〜!来て〜!兄ちゃんが熱のせいでおかしくなっちゃった〜!」

ピカチュウ「(なにい!?)」


バサバサ・・・

ホーホー「はっはっは。ざまあないなあネズミ。」

ピカチュウ「(ホーホー!なんでお前が学生寮にいるんだよ!!)」

ホーホー「はっはっは。何を言っているかさっぱりわからんぞ。」

ピチュー「あ〜!ホーホーおじちゃんだ!」

ホーホー「おお子ネズミども。今日はこの隊長直々にピカチュウの看病に来てやったぞ。」

ぜにぼう「うわ〜い。大人がいればひゃくにんりきだ〜!」

ホーホー「まず、熱というのは・・・悪しきウイルスと身体の細胞の激しい戦いによっておこるものなのだ。つまりこれは戦争!我々の身体の中でも血を見るような細胞戦争が繰り広げられていたのだ!!」

ぜにぼう「おおー!」

トゲピー「トゲー!かっくいー!!」

ホーホー「つまり!我々が戦争に加担しウイルスを退治すれば熱はおさまるのだ。」

ププリン「どうやって?」

ホーホー「そんなものは決まっている。・・・全軍突撃〜っ!!!」

ホーホーはピカチュウに攻撃し始めた。

ホーホー「このやろう!悪しきウイルスめ!このホーホー様が成敗してくれる!!」

ピカチュウ「(痛い!痛い!)」

ピチュー「なんか兄ちゃん痛そう〜。」

ププリン「本当にこれでウイルスが退治できるの〜?」

ホーホー「ば、馬鹿者!ここで少し痛い目を見て熱を冷ますのと後で取り返しがつかなくなるのではどっちがいい!?」

ピチュー「そ、そうか〜。えい!ウイルスめ!ウイルスめ!」

とまどいながらもピチューたちも攻撃を始めた。

ピカチュウ「(ホーホーこの野郎!)」

ピカチュウの電気ショック!

ホーホー「はっはっは。なんだこの静電気は?全然効かないなあ。」

ピカチュウは椅子をホーホーに投げつけた!

ホーホー「ぶげらっ!!」

トゲピー「トゲー!ホーホーおじちゃ〜ん!!」

ピチュー「兄ちゃんがごらんしんだ〜!!」

ホーホー「ぐぐ・・・。こしゃくな・・・。死にかけのくせに・・・!」

ぜにぼう「おじちゃん大丈夫〜?」

ホーホー「き、聞け子ネズミども・・・。まずいぞ。非常にまずい。ウイルスが暴走をはじめてしまった・・・!」

ププリン「どういうこと〜?」

ホーホー「もう奴は助からないかもしれん・・・。」

トゲピー「トゲー!そんなの嫌だよ〜!うえ〜ん!!」

ピチュー「早くお医者さんに!」

ホーホー「馬鹿者!!医者などが頼りになるものか!さっきも言っただろう!これは戦争なのだぞ!!」

ピカチュウ「(この野郎・・・勝手なことばかり言いやがって!)」

ホーホー「ふふふ・・・。だが安心しろ。一つだけ方法がある。儀式だ。ウイルス避けの儀式を行うのだ!」

ぜにぼう「それどんなの?それどんなの〜?」

ホーホー「ふむ。まずピカチュウをベッドに縛り付けて動けなくする。暴走を阻止するためだ。」

ププリン「わかった!ジッとしてねピカチュウおにいちゃん!」

ピカチュウ「(ちょっと!やめろ!!)」

ホーホー「それで、暖房とストーブを最大出力でつけて・・・。」

ピカチュウ「(また!?やめろってば!!)」

ププリン「やっぱりさっきの間違ってなかったんだね〜。」

ぜにぼう「そうだね〜。」

ホーホー「ふむ・・・ちょうどいい。冷蔵庫に納豆があるな。これをよくこねてピカチュウの顔に塗る。ウイルスは納豆が嫌いなのだ。」

ピカチュウ「(ぶっ!臭い!やめろってば!)」

ホーホー「更に虫除けスプレーを顔にぶっかける。これもウイルスは苦手なのだ。」

ピカチュウ「(うわっ!)」

ホーホー「他には・・・横に蚊取り線香でも置いておくか。蚊も寄ってこなくなるから一石二鳥って奴だ。」

ピカチュウ「(ホーホーてめえ!覚えてろよ!!)」

ホーホー「後はマジックで腹にウイルス避けの紋章を書こう。手伝えお前たち!」

ピチュー「は〜い!」

ピカチュウの腹は落書きだらけになった。

こうなるとホーホーのピカチュウいじりは止まらない。

ホーホー「足に長ネギでも巻きつけてみるか。脇は粘土で固めて・・・。耳はこうして、首の部分は・・・。よし、出来た!後はBGMとしてお経のCDをエンドレスで流そう!プププププ!最後かもしれないから写真も撮ろう!これで1週間くらい誰も部屋に入らずに放置すればきっとウイルスはいなくなるぞ!」

ぜにぼう「うわ〜い!」

トゲピー「トゲトゲー!さすがホーホーおじちゃん!」

ピチュー「よかったね兄ちゃん!」

ホーホー「はっはっはっはっは!褒めたまえ褒めたまえ!はっはっはっはっはっは!はあっはっはっはっはっはっは!はっは・・・」

チコリータ「ソーラービーム!!」

ホーホー「はぎゃあああああああ!!」

チコリータ「まったく・・・。何をやってるんですか!こんなメチャクチャな看病がありますか!?」

レオン「ピカチュウ君!お見舞いに来たよ!」

ピカチュウ「(チコリータさん、レオン、それにプリンも・・・。た、助かった・・・。)」

プリン「ププリン達!後でお仕置きだからね!!」

ピチュー「うえ〜ん!ごめんなさ〜い!」

トゲピー「トゲ〜!ごめんなさ〜い!」

その後、ピカチュウはプリン達の看病もあって、すぐに元気になった。


数日後

ホーホー「ごほっ!ごほっ!」

ピカチュウ「やあホーホー。どうやら僕の風邪がうつったみたいだね。」

ホーホー「げほっ!げ!ピカチュウ!ごほっごほっ!」

ピカチュウ「この前のお礼に僕が看病してあげるよ。熱というのは、つまり細胞戦争・・・だっけ?」

ホーホー「よ、よせ!ごほっ!私は病人・・・ごほっごほっ!」

ピカチュウ「ウイルス退治じゃあああああ!!」

ホーホー「あぎゃああああああああああ!!!」


みんなも夏風邪には気をつけようね!
続く


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