デオキシス菌による学校閉鎖が終わった。デオキシス病の特効薬が出来たのである。

デオキシス病に対するワクチンはポケモン島全域に配られ、ポケモン高校でも全校生徒に異例の注射が行われることとなった。

このワクチンを打つことにより、免疫が出来て二度とデオキシス菌に感染しなくなり、更に、発病しているポケモンは症状が治まるという。

ハピナス「はい、ちょっとチクッとしますよ〜?」

チクッ

プリン「いたた・・・。あっ!治った!発病もしない!」

ピカチュウ「プリン!ああ、よかった。この前は本当にごめんよ。」

プリン「ううん、私の方こそごめんね、ピカチュウ君!」


リザードン「よ〜し、お前ら、どんどん打て〜。」

ビリリダマ「・・・・・・。」

リザードン「あ?お前は喋れないんだから必要ないだろ。しかも注射なんかしたら爆発しそうだし。」

ビリリダマ「・・・・・・!!」


ヘラクロス「オラア!ミュウ!よくもこの前はやってくれたな!」

ストライク「そうだそうだ!ひどいよミュウ君!」

ミュウツー「二度と犬を撫でられない体にしてやろうか?」

ミュウ「こ、この前の事は僕が悪かった!皆、ごめん!謝るよ!そ、そんな怖い顔しないで!ちょ、ちょっと!暴力はいけないと思うな!話し合いで・・・う、うわあああああ!!」


ピカノ「やれやれ。まったく迷惑なウイルスだったぜ。」

デオキシス「まったくだああああああああああああ!!俺は学校閉鎖の間ずっと地下室暮らしだったんだぞぞぞぞぞぞぞおおおおおおおっ!!」

ピカノ「・・・お前も注射してもらえば?少しは大人しくなっかもよ?」

デオキシス「それがよおおおおおおおおおお!!なんとおおぉっ!既に30箇所に注射してもらってんだぜええええええええええええええええっ!!!」

ピカノ「・・・効果なしってことね。」


ハピナス「まだワクチンを打ってない方はいらっしゃいますか〜?」

ラティアス「・・・。」

ハピナス「あれ?あなた打ちましたっけ?」

ラティアス「・・・はぁ?何で私がそんなもの打たなくちゃいけないのよ。ばっかみたい。」

ハピナス「いえ、でも確実にあなたも感染してるでしょうし、これからも発病しないようにこのワクチンを・・・。」

ラティアス「必要ないって言ってるでしょ!」

ハピナス「まあまあ、そんなこと言わずに・・・。はい、腕だしてください。」

ラティアス「・・・ちょっと!触らないでよ!」

ハピナス「はい、ちょっとチクッとしますよ〜?」

ラティアス「キャッ!」

ラティアスはハピナスを突き飛ばした。

ピカチュウ「『キャッ』!?」

ピカノ「・・・もしかしてお前、注射が怖いのか?」

ラティアス「・・・は?何を根拠に・・・。」

ピカノ「汗だくだぞお前。ほれ、チクッとしますよ〜?」

ラティアス「ひっ!」

ピカノ「ワハハ!意外な弱点発見だな!ほれほれ!」

注射器を持ってラティアスを攻めるピカノ。

ラティアス「ちょ、ちょっと!やめなさい!」

ピカノ「ははは!楽しい〜。」

ピカチュウ「(どう見ても教師の姿じゃないな・・・。)」

だがその時、ピカノの振り回していた注射器が手からすっぽ抜け、アブソルの背中にグサリと刺さった。

アブソル「ああああああああああ!!抜いて!誰か抜いてえええええええ!!」

ピカノ「あらら。悪いなアブソル。」

ラティアス「あんた・・・。ちょっと悪ふざけがすぎたんじゃない?」

ピカノ「うっ!落ち着けラティアス!これはあれだよ・・・。ちょっとしたジョークだよ。アメリカンジョーク。な?ゲンガー。ゲンガー?」

ハピナス「はい、チクッとしますよ〜?」

チクッ

ゲンガー「NO!アウチ!アウチ!アアアアアアアアアアウチッ!!」

ソーナンス「ははは。相変わらずオーバーやなあ。ちなみにミュウツーはんが苦手なんはオーバーけ(お化け)や。」

ラティアス「龍の波動!」

ピカノ「あぎゃあああああ!!」

ラティアス「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」

ピカチュウ「ピカノ、今のは自業自得だよ。ねえラティアス、でも注射はしといたほうがいいんじゃない?」

ラティアス「・・・くっ。うるっさいわね!電気ネズミに何がわかるっていうのよ!」

ピカチュウ「言ったなあ!その言葉を言ったなあ!こっちは親切で言ってやってるのに!」

レオン「ラティアスさん!同じピカチュウとして僕も今の言葉の撤回を要求する!」

ラティアス「・・・。」

アブソル「いてええええええええ!!早く誰か抜いてええええええええええ!!」

ラティアス「・・・!」

ゲンガー「OH!アウチ!アウチ!アアアアアアアアアウチッ!!!」

ラティアス「くっ・・・!」

あまりの恐怖に、ラティアスは保健室を飛び出していった。

ピカノ「お、おい!逃げたぞ!追え!追えええええええ!!」


こうしてポケモン高校内で壮絶な鬼ごっこがはじまった。

ブルー「さあ、始まりました!ラティアス対その他大勢のおにごっこ!まず最初に飛び出したのは・・・力自慢カイリキーだ!
自慢の4本の腕でラティアスを捕まえようと試みますが・・・おおっと!エスパー技のサイコキネシスで一撃粉砕!効果は抜群だ!
続いて挑戦するのは・・・すばやさなら任せろという忍者ポケモン、テッカニンだ!
ん?ラティアスが何かを取り出したぞ?!ああっ!あれは殺虫剤だ!テッカニン、これはたまらずダウ〜ン!
そしてライチュウ!地味です!一方ブーバー!ひどい顔だ!
おっと!レックウザが吐血!攻撃されてもいないのに吐血!
今度はフシギダネがツルのムチを使って捕まえようとしていますが・・・あ〜!ツルのムチが蝶結びされてしまった〜っ!なんて器用なんだ〜っ!!
負傷した勇敢なる勇者たちはチコリータの手によって保健室に運ばれていきます!」

ピカチュウ「あ〜あ。被害者続出。プリン、ラティアスさんを止められるのなんてプリンくらいじゃない?ちょちょいとやっちゃったら?」

プリン「う〜ん。女の子を相手にするのは気が引けるのよねえ・・・。」

ピカチュウ「(男の子のセリフだな、これ・・・。)」

ドーブル「ならば、ここは私に任せてください。」

ピカチュウ「またお前か・・・。」

ドーブル「な、なんですか?その言い方は。まるで私が使えない奴みたいな・・・。」

ピカチュウ「んん・・・。まあ・・・。」

ドーブル「あえてハッキリ言わないところが痛い・・・。と、とにかく!今回の作戦はバッチリです。強いプリンさんの絵をたくさん描いてラティアスさんを捕まえてもらうのです。」

ピカチュウ「どうせ10秒で消えるんだろ。」

ドーブル「ところがどっこい。一人描き終わった後にすぐもう一人、というようにたくさんの絵を描けば大丈夫です!一人が消えても別の一人が存在して押さえつけててくれればいいわけですし。」

ピカチュウ「まあやってみたら?」

ドーブル「よし、じゃあいきますよ!」

ドーブルは次々とプリンの絵を描き、実体化させていった。

ヘラクロス「わ〜い!プリンがたくさんだあ〜っ!!」

ドーブル「さあプリンさん達!ラティアスさんを捕まえてください!」

絵プリンA「う〜ん。女の子を相手にするのは気が引けるのよねえ・・・。」

ピカチュウ「同じこと言ってるじゃん。」

ドーブル「あ、あなた達は絵なんですからそんなこと気にしないでいいんです!さあ、プリンちゃんパンチとかプリンちゃんキックとかやっちゃってください!」

絵プリンBはなまけている。

絵プリンCはそっぽをむいた。

絵プリンDは昼寝を始めた。

絵プリンEはしらんぷりした。

ドーブル「ちょ、ちょっと・・・。」

ピカチュウ「全然言うこと聞いてないぞ。」

レオン「バッジが足りないみたいだね。」

ドーブル「ほ、ほら!早く!プリンちゃんチョップとか!」

絵プリンF「うるさいわねえ!何であんたの言うこと聞かなくちゃいけないのよ!はあっ!」

絵プリンFは命令を無視してプリンちゃんナックル!

ドーブル「ごふっ!!」

ドーブルは倒れた!

レオン「あ〜あ。また負傷者が・・・。」

絵プリンZ「あへあへ。」

ピカチュウ「ってうわあ!変なのが雑じってる!」

レオン「どうやらドーブル君がプリンちゃんの絵を描き続けて最後の方にヘトヘトになりながら描いた絵が実体化してしまったみたいだね。」

絵プリンZ「あへへ。」

ピカチュウ「うぜえ〜。しかも何で消えないんだよ!」


ドーブル達が遊んでる間にも、ラティアスとその他大勢の格闘が続けられていた。

いつもなら雑魚がどれだけ寄ってきても平気だが、精神状態のせいもあって、ラティアスの体力は消耗していた。

ラティアス「はぁ・・・はぁ・・・。」

ガラガラ「弱ったところを狙う。それが我が武士道。ガラガラ、参る!」

ラティアス「ちっ。ドラゴンクロー!」

ガラガラ「ぐわっ!」

ピカノ「くそ!皆でかかれ!」

ラティアス「しつこいわねえ・・・。仕方が無い。兄貴!」

ラティオス「コラアアアア!!待て待て待て〜!!ラティアスを大勢でいじめるとは・・・許せんっ!!!」

ピカチュウ「呼ばれてから登場するの早っ!」

ラティアス「兄貴・・・。」

ピカチュウ「あんた大学は?」

ラティオス「ラティアスがピンチの時に大学など行っていられるか!ラティアス、兄ちゃんを頼って呼んでくれたんだな?」

ラティアス「違うわよ。ただの捨て駒。なるべく1秒でも長く持たせなさい。それじゃ。」

ラティオス「はっはっは。捨て駒か。ここまでハッキリ言われるとすがすがしい。よし、貴様ら!ここからは俺が相手だ!」

結果、ラティオスは1分間の足止めに成功した。が、ラティアスが逃げるには十分な時間だった。


ピカノ「あ〜あ。逃げられちまった。ラティオス、どうしてくれんだ?おい。」

ピカチュウ「なあラティオス、なんであのラティアスが注射なんか怖がってるんだ?」

ラティオス「あれは・・・ラティアスが3つの頃だった。ポケフルエンザの予防接種のために病院へ行った時の話だ。馬鹿なヤブ医者がいてラティアスにトラウマを植えつけたのだ!」


13年前、西地区のノクタス小児科

ラティアス「お兄ちゃん!絶対そこにいてね!絶対だからね!」

ラティオス「大丈夫だよラティアス。兄ちゃんがずっとそばにいてあげるからな。」

ノクタス「はい、チクリとしますよ〜。我慢してね〜。」

ラティアス「ひっ!」

ラティオス「むっ!ラティアスの背中に虫が!俺のラティアスに何をする!てやあっ!!」

ラティオスがラティアスの背中を叩いた瞬間、その勢いで注射の針がラティアスの腕に深く刺さった。

ノクタス「ああっ!だ、大丈夫?今抜くからね!」

ラティアス「え〜ん!痛いよ〜!え〜ん!!」

ラティオス「ラティアスに何してんだこのヤブ医者!」

ラティアス「え〜ん!え〜ん!」


ラティオス「と、そんなわけで、そのヤブ医者が注射を失敗したせいで俺のラティアスがトラウマを・・・。」

※もちろん、ラティオスは背中を叩いたくだりに関しては話していません。

ピカチュウ「あ〜、なるほど。」

ピカノ「ひでえヤブ医者だ!」

レオン「それよりもラティアスさんはどこへ行ったんだろう。」


ラティアス「・・・ふう。もう大丈夫みたいね。」

???「あはははははは!」

ラティアス「!?」

ゴースト「あははははははは!いや〜、凄かった!」

ラティアス「あんた!透明になって追ってきたってわけ!?」

ゴースト「ああ、いえいえ。そうじゃありませんよ。ラティアスさんの壮絶な逃走劇!全てこのビデオカメラに撮らせていただきました。そこで、いい物を撮らせていただいたお礼にいいことを教えてあげようと思いまして。」

ラティアス「・・・なによ?」

ゴースト「そうですねえ。たとえば岩ポケモンや鋼ポケモンがいるじゃないですか。だけど、それらのタイプのポケモンは体がとても硬くて注射なんてできません。では、どうすればいいと思います?」

ラティアス「どうすんのよ。」

ゴースト「どうやら硬いポケモンに関しては、ワクチンを入れた錠剤が存在して、それを飲んでいるらしいですよ。今日岩ポケモンや鋼ポケモンが注射しているところを見ましたか?」

ラティアス「そういえば見てないわね。錠剤ね・・・。どうすれば手に入るのかしら。」

スピアー「ふふふ。どうも。」

ラティアス「・・・針!キャアッ!!」

ラティアスのドラゴンクロー!

スピアー「ぐええっ!!何するんですか!!」

ラティアス「・・・。あんたが急に出てくるのが悪いんでしょうが!」

スピアー「いてて・・・。いや〜、なんだか大変みたいですねえ。はじめまして。私、行商人のスピアーといいます。話は聞かせてもらいました。」

ラティアス「何なのよ。盗み聞きなんて褒められた趣味じゃないわね。」

スピアー「ええ、実は私、本来なら病院にしかないはずの錠剤を入手しまして。しかも病院じゃ一部の注射がうてないポケモンにしかもらえないんですねえ、これが。」

ラティアス「・・・。それを売ってくれるわけね。信用できるんでしょうね?」

スピアー「ええ、それはもう。これは私の商人としての勘で、恐らくいずれワクチンが足りなくなって需要が増え、薬が高値で売買されると予想して知り合いの病院から安く仕入れたものですから。」

ラティアス「なるほどね。そういうことなら買ってあげるわ。いくら?」

スピアー「限定品みたいなもんですからねえ。プレミア価格で大特価50万ポケ円・・・」

ラティアス「500円。」

ラティアスの睨みつける!(ゲームでは覚えません。)

スピアー「わ、わかりました。500ポケ円で・・・。」

ラティアス「ついでに喉が渇いたからおいしい水ちょうだい。薬も飲みたいし。」

スピアー「はい。まいどあり〜。」

ラティアス「ごくり。ふう、これでよし。あら?ねえ、この道具は?」

スピアー「あ、それですか?それはレアアイテムですよ〜。」

ラティアス「じゃあこれも貰うわ。どうせ高いんでしょ?ラティオスに払わせといて。」

スピアー「はあ。ラティオスさんですか?わかりました。まいどあり〜。」


ピカノ「あれ?ラティアスが戻ってきたぞ!」

ラティオス「ラ、ラティアス〜!来ちゃダメだ〜!」

ヤドラン「へへへ、俺が捕まえてきてやる。これを見ろ!注射だぞ!」

ラティアスのサイコキネシス!

ヤドラン「ぐおっ!?ぐわああああああああああ!!」

ヤドランはどこかへ吹っ飛んでいった。

ラティアス「よくもやってくれたわね、あんた達・・・。」

ピカノ「な、なんかものすごく強くなってるぞ!?発病もしないし・・・。」

ゲンガー「Why?」

ゴースト「あははははははは。実はこれこれこういうことで。」

ピカノ「錠剤って・・・反則だろそれ・・・。お〜い!ラティアス!さっきは悪かった!許してくれよ!みんな反省してるから!な?」

ラティアス「そうね。さっき買った『こころのしずく』の威力の実験台になるだけで許してあげる。」

『こころのしずく』とは、ラティアスやラティオスに持たせると特攻と特防が飛躍的に上昇する道具である。

ラティアスの竜の波動!

ピカノ「のぎゃああああああああああああ!!」

レオン「僕たち、乱暴しなくて良かったね・・・。」

ピカチュウ「・・・うん。」

その日、ポケモン高校は地獄と化したのだった。


絵プリンZ「あへへのへ〜。」

ピカチュウ「ってお前まだいたのかよ!?」
続く


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