ピンポーン
ピカチュウ「はいはい?」
ピカ父「やあピカチュウ。元気だったか?」
ピカチュウ「あれ?父さん。どうしたの?まさかまた引越しだなんて言わないよね?」
ピカ父「うむ。実はそれが・・・。」
ピカチュウ「?」
ピカ爺「やっほーピカチュウ。元気じゃったか?」
ピカチュウ「じ、じいちゃんんんんん!!?」
ピカ爺「いや〜、こっちの島は久しぶりじゃのお。」
ピチュー「おじいちゃ〜ん。」
トゲピー「トゲトゲ〜。おじいちゃ〜ん。」
ピカ爺「ほっほっほ。おーよしよし。」
ピカチュウ「ねえ爺ちゃん。腹痛が治ったみたいで何よりだけど、なんで急にこっちのポケモン島に来たの?」
ピカ爺「ほっほっほ。なーに。たまには孫たちの顔が見たくてのお。」
ピカチュウ「あ、そうなんだ。なら婆ちゃんも来ればよかったのに。」
ピカ爺「ほっほっほ。婆さんはうるさいからダメじゃ。なあピカチュウ。ワシ、久しぶりのポケモン島を見学したいのお。」
ピカ父「おほんっ!そうだな。それはいい。よし、ピカチュウ。爺ちゃんにこの島を案内してきてやれ。」
ピカチュウ「何で僕が?」
ピカ父「さあピチュー、トゲピー。パパと遊園地に行こうね。」
ピチュー「わーい。遊園地ー!」
トゲピー「トゲー!わーい!わーい!」
ピカチュウ「あ!ちょっと!!」
ピカ爺「なあピカチュウ〜。いいじゃろ〜。」
ピカチュウ「わかったわかった。仕方ないなあ・・・。」
こうしてピカチュウはピカ爺を連れて外へ出て行った。
ピカ爺「いや〜、いい天気じゃ。」
ピカチュウ「ん〜、じゃあ何処行こうか?」
ピカ爺「ワシ、こっちがいい。」
ピカチュウ「そっち?別にいいけど・・・。」
ピカ爺「う〜む、しかしこの島も便利になったもんじゃのお。昔はもっと田舎じゃったのに。」
ピカチュウ「まあね。爺ちゃんが遠いポケモン島に引っ越してからずいぶん経ってるもんね。」
ピカ爺「む?あれは!」
ぜにぼう「やめてよー。返してよププリンちゃんからもらった僕の宝物〜!」
ツボツボ「ケケケ。何が宝物だ。ただのビー玉じゃないか。返して欲しけりゃ自分で取り返してみろ!」
ピカチュウ「ツボツボか。あいつまた小さい子をいじめてるな!」
ピカ爺「喝〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
ピカチュウ「うわっ!」
ピカ爺「こりゃああああああああ!!何をしておる!!」
ツボツボ「な、なんだ?このジジイ。」
ピカ爺「喝!!!」
ツボツボ「うわあ!!」
ピカ爺「ジジイじゃと!?年上の人に対してその態度はなんじゃ!!そしていじめなどという愚行!断じて許してはおけん!!ガミガミガミ・・・。」
ツボツボ「うるせえな。俺の勝手だろ!」
ピカ爺「いいや、ならぬ!すぐに謝ってそのビー玉を亀の子に返すのじゃ!!」
ツボツボ「や、やなこった!」
ピカ爺「では仕方がないな。雷爺さんの雷攻撃!!!」
ドガラッシャーン!!
ツボツボ「ぴくぴく・・・。」
ピカ爺「ふん。まだまだ若いもんには負けんわい!ほら、よかったなあ。もう取られるんじゃないぞ。」
ぜにぼう「わーい。ありがとー。」
ピカチュウ「(子供相手にここまでやるか・・・?)」
ピカ爺「ほっほっほ。いい事をした後は気持ちが言いのお。さて、次はどっちじゃったかのお。」
ピカチュウ「え?どっか行きたいところでもあったの?」
ピカ爺「いやいや。そんなことはないぞよ。さて、次はこっちじゃ。確か。」
ピカチュウ「確かって言ってるよね。明らかにどっかに向かってるよね。思い出の場所かなんか?」
プリン「ピカチュウく〜ん!」
ピカチュウ「あ、プリン。爺ちゃん、紹介するよ。幼馴染のプリン。」
ピカ爺「おお、なんと!」
ピカチュウ「プリン、これがこの前腹痛になった僕の爺ちゃん。」
プリン「こんにちは。プリンです。ピカチュウ君にはいつもお世話になってます。」
ピカ爺「おお・・・なんていい子じゃ・・・。これがピカチュウの将来の嫁さんか・・・。」
ピカチュウ「そう。嫁さん・・・って何言ってるのおおお!!?」
プリン「や〜だ!も〜う!ピカチュウ君のお爺ちゃんったら冗談が上手なんだから!」
バシ!バシ!
ピカチュウ「痛い!痛い!何で僕を叩くの!?」
ピカ爺「いや〜、幸せもんじゃのお。ピカチュウも隅に置けんのお。このこの〜!」
ピカチュウ「だだだ、だからただの幼馴染であって・・・。」
プリン「や〜ん!もうピカチュウ君ったら!」
バシッ!
ピカチュウ「何で!?」
プリン「それじゃ、私おつかいがあるから!またね〜!」
ピカチュウ「う、うん。またね〜。」
ピカ爺「なんじゃ、行ってしまうのか。残念じゃのお。」
ピカチュウ「ねえ爺ちゃん、どこまで行くつもりなの?」
ピカ爺「ワシはあのバスに乗りたかったのじゃ!」
ピカチュウ「はい?あのバスは西地区の方まで行っちゃうよ?」
ピカ爺「乗りた〜い!バスに乗りたいんじゃあ!!」
ピカチュウ「バスなんて別に珍しくないでしょ!」
ピカ爺「そんなこと言っても乗っちゃうもんね〜!」
ピカチュウ「あっ!爺ちゃん!まったくもう、仕方ないなあ・・・。」
西地区・ポケモンドーム前
ピカ爺「お!なんじゃ?あの人だかりは!」
ピカチュウ「あ〜、誰かがライブかなんかやってるみたいだね。」
ピカ爺「見たい〜!見たい〜!」
ピカチュウ「爺ちゃん!いいかげんにしなさい!わがままばっかり言って!」
ピカ爺「うう・・・。だってワシ、もう長くないかもしれないんじゃもん・・・。生涯に一度くらいライブというものを見てみたいのじゃ・・・。」
ピカチュウ「その手には乗らないよ!爺ちゃん、それ系の台詞何回言ったと思ってるのさ?さあ、帰ろう。その代わりに父さんがきっと出前で美味しいもの取ってくれるよ。」
ピカ爺「むう・・・。なら勝手に入っちゃうもんね〜!」
ピカチュウ「ああ!爺ちゃん!もう!年寄りとは思えない素早さだ!」
ルギア(警備員)「ほらほらお爺さん、勝手に入っちゃダメですよ。開場まで時間があるんですからちゃんと並んで。」
ピカ爺「なんじゃ、そう固いこと言わずに・・・。」
ピカチュウ「ああ、すいません!爺ちゃん!ダメだろ!それにここにはチケットがなくちゃ入れないの!!」
ピカ爺「チケット?そうなのか?じゃあそれ買う!」
ルギア(警備員)「当日券は既に完売してますよ。」
ピカ爺「え〜。」
ピカチュウ「ほら、爺ちゃん、あきらめて帰ろう。」
ピカ爺「むう・・・。」
オニスズメ「・・・おい、開場まで後何分だ?」
オニスズメ隊副隊長「後30分程だと思います。」
オニスズメ「ふむ。そうか・・・。」
オニスズメ隊副隊長「しかし意外ですなあ。オニスズメ隊の隊長がアイドルのサーナイトちゃんの大ファンだなんて。」
オニスズメ「ち、ちっが〜〜〜う!!これは調査だ!市民がどのようなものに興味があるのか新ポケモン軍事部隊の隊長として調査しに来ただけのことなのだ!!断じて大ファンなんてことは・・・。いや、でもあれだよ?確かに少しかわいいとは思うけどさー。でも大ファンってわけでは・・・。」
ピカチュウ「あ、オニスズメ。なんか久しぶり。」
オニスズメ「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」(←声にならない叫び。)
オニスズメ隊副隊長「あ、ピカチュウさん。ご無沙汰してます。」
オニスズメ「知ら〜〜〜〜〜〜ん!!誰だ貴様は!貴様のことなど知らんぞ!!」
オニスズメ隊副隊長「は?何言ってるんですか隊長?ピカチュウさんですよ。ほら。」
オニスズメ「ピカチュウ〜?知らん!知らん!そんな奴は知らん!!っていうか隊長って誰のこと?私ぜ〜んぜんわからないでございますよ!」
ピカチュウ「あ〜、なるほど。アイドルのサーナイトちゃんね・・・。」
オニスズメ「な、なにい!?何のこと?あ、あ〜、我々はあれだ。その・・・調査だよ調査!調査!調査ああ!!いや、でもそりゃ確かに少しかわいいとは・・・」
ピカ爺「なんじゃピカチュウ。知り合いかの?」
ピカチュウ「あ、爺ちゃん。そう。知り合い。まあいろいろあってさ・・・。」
ピカ爺「そうか〜、知り合いか〜・・・。」
ピカチュウ「・・・?」
ピカ爺「喝〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
オニスズメ「どわあ〜っ!!なんじゃあ!!?」
ピカチュウ「ど、どうしたんだよ爺ちゃん!いきなり大声出して!」
ピカ爺「あ、なんじゃ。ただの虫じゃった。」
オニスズメ「な、なんだよ。驚かすなよ・・・。」
ピカチュウ「いや、ごめんごめん。ちょっとうちの爺ちゃん変わっててさ・・・。悪かったね騒がせちゃって。それじゃ、行こう爺ちゃん。」
ピカ爺「うむ・・・。」
ピカチュウ「ええ、と。それじゃ仕方がない。またバスに乗って帰るか・・・。」
ピカ爺「ああ〜っ!!」
ピカチュウ「・・・。今度は何?」
ピカ爺「こ〜んな所にチケットが2枚落ちてたぞ〜!!」
ピカチュウ「ええっ!?嘘!?」
ピカ爺「なあ〜、行こうよピカチュウ〜。お前の分もあるから〜。な?な?」
ピカチュウ「な、なんか嫌な予感がするんだけど・・・。」
ルギア(警備員)「それでは開場で〜す!」
オニスズメ「何い!!?我々のチケットが無いだとお!!?」
オニスズメ隊副隊長「は、はい・・・。も、申し訳ございません!確かにここに入れておいたはずが・・・。」
オニスズメ「き、貴様あああああ!ヒラ隊員に降格してやるぞ!ぐおおおおおおおおおお!!サナちゃああああああああああん!!!」
ピカ爺「う〜む。ラッキーじゃのお。ついてるのお。」
ピカチュウ「(確証はないけど・・・今度オニスズメに何かおごってやろう・・・。)」
ピカ爺「お、始まるみたいじゃぞ。」
ステージにサーナイトが登場する。
サーナイト「みんな〜!今日は来てくれてありがと〜!!」
観客「うおー!!サナちゃああああああん!!」
ピカチュウ「うひゃあ、凄い歓声。」
ピカ爺「うおうおーーー!!サナちゃああああああああああああん!!!」
ピカチュウ「っておい!わかったぞ!爺ちゃん、このためにこっちのポケモン島まで来たんだろ!!」
ピカ爺「ピカチュウ〜、ワシ、サナちゃんのサインが欲しいのお。」
ピカチュウ「・・・。」
ピカ爺「ピカチュウ〜、ワシ、サナちゃんと2ショットで写真が撮りたいのお。」
ピカチュウ「あ〜、もう!本当にいいかげんにしなよ!!爺ちゃん、一体今日だけでどれだけのわがままを言ったと思ってるの!?」
ピカ爺「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」
ピカチュウ「グ・・・と、とにかく!そこまで行くともう僕の力ではどうにもならないんだよ!」
ピカ爺「あきらめたらそこで試合終了だよ」
ピカチュウ「無理!!」
そんなこんなでライブは終了。
ピカチュウ「ふう。・・・なんかなんだかんだで少し僕も楽しんじゃったな。さあ爺ちゃん、これで満足しただろ?それじゃかえ・・・」
ピカ爺はそこにはいなかった。
ピカチュウ「あ、あれえ〜っ!!?ま、ま、まさか・・・。」
スタッフ「サナちゃん、おつかれ〜!」
サーナイト「お疲れさまで〜す!それじゃ私、着替えてきますね〜!」
ピカ爺「サ〜ナちゃん!」
サーナイト「きゃ!お爺ちゃん誰ですか?」
ピカ爺「ワシ、ピカチュウの爺ちゃんだからピカ爺!ピーちゃんって呼んでね!」
サーナイト「え〜と・・・ピーちゃんさんはどうしてここに?」
ピカ爺「ワシねワシね、サナちゃんにお願いがあるのじゃ!」
サーナイト「お願い?な〜に?」
ルギア(警備員)「さきほどのお爺さんとはぐれた!?目を離さないでもらわないと困るよ〜!」
ピカチュウ「す、すいません。もしかしたらサナちゃんに会いに・・・。」
ピカ爺「やっほーピカチュウ!」
ピカチュウ「ああっ!爺ちゃん!!」
ピカ爺「ほれほれ!サナちゃんにサインもらっちゃったもんね〜!2ショットで写真も撮ってもらっちゃったぞい!!」
ピカチュウ「なっ・・・!?」
ピカ爺「ほっほっほ。さ〜て、帰って出前でも取るか!」
ピカチュウ「まったく・・・。爺ちゃんには敵わないよ・・・。」
ピカ爺は後日、大満足しながら帰っていったそうな。
続く
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