体育の授業。

本日の授業はマラソン。

体育教師のリザードン先生の元、ピカチュウ達は校庭を走っていた。

レオン「ピカチュウ君、マラソンってきついねえ。」

ピカチュウ「僕たちみたいに体力のないポケモンと体力のあるポケモンでは走る距離を変えてほしいよ、まったく。」

こんなことを言っているが、事実上、この島のポケモン達に種族としての体力的な差はそんなになかったりする。

リザードン「こらあ!!ピカチュウ!レオン!マジメに走らんかあ!!サワムラー達を見習えーーー!!!」

マラソン中にしゃべりながら走っていたピカチュウとレオンは体育教師のリザードン先生に怒鳴られた。

ピカチュウ「サワムラー?」

レオン「1組のリザードン先生のクラスの奴だよ。勉強は出来ないけどスポーツはバリバリに出来るんだ。」

ピカチュウ「そうか、体育は別のクラスと合同だったね。で、『達』ってのは?」

レオン「サワムラー君の友達でライバルのエビワラー君やカイリキー君、それにサンダース君の事さ。」

ピカチュウ「もしかしてあいつらか?」

そこにはごついが体格のいいポケモン3匹とスマートな四つんばいのポケモンが1匹トップにいた。

サワムラー「うおおおおおっ!!!マラソンで一位になってブースターに褒められてやるぜえええええええっ!!!」

エビワラー「それはこっちのセリフだ!!」

カイリキー「させるか!!ブースターに褒められるのは俺だああああああっ!!」

サンダース「フン、お前らのようなムサい奴らより同じイーブイから進化した僕こそブースターとお似合いなんだ!!」

ものすごい勢いでピカチュウ達は周回遅れにされてしまった。

ピカチュウ「・・・ねえレオン、ブースターって?」

レオン「ピカチュウ君って他のクラスのこととか本当に何も知らないんだね・・・。」

ピカチュウ「・・・いいから教えてよ。」

レオン「ブースターさんは1組にいる超美人ポケモンだよ。そのブースターさんに認められたくて、あの4人は競ってるんだ。」

ピカチュウ「へえ、この学校にもいろいろな関係があるんだねえ・・・。」

レオン「そりゃそうさ。それよりマジメに走らないとまたリザードン先生に怒鳴られちゃうよ?」

ピカチュウ「そうだね、マジメに走るか。」


給食の時間


ピカチュウは、教室の前で呼びとめられた。

「おい、そこの黄色いの!」

ピカチュウ「あ、あんたは・・・。」

ピカチュウを呼んだのはさきほどのサワムラーだった。

ピカチュウ「どうかしたの?」

サワムラー「お前のクラス、今日の給食のパン、余ってないか?」

ピカチュウ「パン?フシギダネが休んでる分が余ってるけど・・・足りなかったの?」

サワムラー「いや、それがな・・・ブースターにあげたら俺の分が無くなってしまったんだよ。だからこっちから貰おうと思って。」

ピカチュウ「あげたらなくなるの当たり前だろ!!」

あまりの間抜けさにピカチュウはつっこんだ。パンを渡したあとだったが。

サワムラー「まあそうだけどさ、ブースターのゴキゲン取りたいじゃん?じゃあこのパンは貰っていくぞ。ありがとよ黄色いの!!」

ピカチュウ「黄色いのじゃない!ピカチュウだよ!!」

ピカチュウの主張も聞かずにパンをまんまと持って去っていくサワムラー。

ピカチュウ「くっそー、なんなんだよあいつは・・・。」

「おい!そこのシマシマ!!」

席に戻ろうとしたピカチュウにまた誰かが話しかけてきた。さきほどのエビワラーだ。

ピカチュウ「ピカチュウだってば!!今度はなんだよ!」

エビワラー「いや、その、牛乳・・・余ってないか?ブースターにあげたら俺の分が無くなってさ。」

ピカチュウ「お前もかよ!!牛乳ならやるけどさあ・・・。」

あきれた表情で牛乳を差し出すピカチュウ。

エビワラー「おう、悪いな。じゃあな!」

ピカチュウ「まったく、本当に何なんだよ・・・。」

「あの、すいません・・・。」

またピカチュウを呼ぶ声が聞こえてきた。

ピカチュウ「はいはい、今度は何だよ?何をあげればいいんだ?」

ブースター「いえ、このパンと牛乳を返しに来たんです・・・。」

そこにいたのはさきほどのようなごついポケモンではなく、毛皮の美しいきれいなポケモンだった。

このポケモンこそ、ポケモン学園のマドンナ・ブースターである。

ピカチュウ「え、あ、そ・・・そうですか・・・。返すって・・・?」

さすがのピカチュウもあまりに丁寧な言葉遣いに思わず動揺してしまった。

ブースター「サワムラー君達がここから持っていった分です。」

ピカチュウ「ああ、それは欠席の人の分だから別にいいんだけど・・・。」

ブースター「いえ、私は一つで十分なので・・・。」

ピカチュウ「あ、ああ・・・そ、そうですか・・・。えっと・・・もしかしてあなたがブースターさん?」

ブースター「はい。確かに私がブースターですけど・・・何か?」

ピカチュウ「い・・・いえ、何でもないんです!えっと・・・それじゃ!」

突然の出来事に、さすがのピカチュウもあせり、急いで席に戻った。

ピカノ「ワハハハハハ!!みたぞピカチュウ!!緊張してやんの!!ワハハハハハハ!!」

ピカノ(教師)の冷やかしも耳に入らないくらいピカチュウはとまどっていた。

レオン「ピカチュウ君、どうしたの?ブースターさんと話してたみたいだけど。」

ピカチュウ「ああ、ちょっとね・・・。」

給食のパンと牛乳を返して貰ってただけなどとても話すような内容ではなかった。

レオン「ブースターさんって美人だよねえ、お姉さんのエーフィ先輩って方も綺麗らしいよ。」

ピカチュウ「へえ、そうなんだ・・・。」

レオンが嬉しそうに語る中、プリンの様子がおかしい。

プリン「へえ、ピカチュウ君、ブーちゃん(ブースター)に惚れたの・・・。綺麗だもんねえ・・・。」

明らかにプリンには殺気が満ちあふれている。

ピカチュウ「ち、違うよ!!そりゃあ少し綺麗だとは思ったけど、さっきはただあんまり丁寧だから困っただけだ!」

レオン「確かに丁寧だよね。ところでプリンちゃん、ブースターさんって実際の所、誰が好きとかの噂流れてないの?」

レオンは噂話が好きなのだろうか、興味津々にプリンに聞いた。

プリン「さあ・・・。前はサンダース君が好きなんじゃないかって言われてたけどそれならとっくにサワムラー達が捨てられてもおかしくないんじゃないかって事でその噂はなくなったの。」

ピカチュウ「でもあんなにしつこくされて好きになってもらえるわけないと思うんだけど。」

プリン「確かに。あたしだったら絶対にお断りね。」

プリンは後ろで嬉しそうにリンゴを食べているヘラクロスの方をチラっと見た。

プリン「あれじゃブーちゃんがかわいそうよ!!」

ピカチュウ「そう言ってもなあ・・・。」

だんだん熱が入ってくるプリンの態度に焦るピカチュウ。

プリン「よし、ブースターちゃんを助けてあげよう!!」

ピカチュウ「な、なんだって!!?」


こうしてプリン、ピカチュウ、レオンはブースター救出(?)作戦を開始した。
続く


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