今日はピカチュウが学生寮に入る日。

早速引越しの挨拶です。

ピカチュウ「とりあえず同じ階の1年生だけでいいよな。え〜と、まずはお隣・・・。」

ピンポーン

ピカチュウ「・・・。」

ピンポーン

ピカチュウ「・・・留守かな?」

扉は開いていた。

ピカチュウ「ん?」

不思議に思ってピカチュウは一歩だけ入ってみた。その時だった。ピカチュウは何かを踏みつけた。

ピカチュウ「うわ、いってえっ!!なんだ!?」

テッカニン「フフフ、かかったな!その程度のわなに引っかかる者が我が忍者屋敷に忍び込むとは笑止!」

セミのようなポケモンが飛んできた。

ピカチュウ「なんだお前っ!」

テッカニン「拙者はテッカニン!4組に在籍する由緒正しき忍者でござる!!」

ピカチュウ「忍者!?ってことは・・・この足元にあるのはマキビシか!?」

ピカチュウは足元を見た。

だが足元にあるのはマキビシ・・・ではなく、画鋲だった。

ピカチュウ「しょぼっ!確かに痛いけどしょぼっ!つーかせこっ!」

テッカニン「う、うるさいでござる!正式な忍具は値段も高いのでござる!!」

ピカチュウ「・・・まあどうでもいいや。僕、隣に引っ越してきたピカチュウっていうんだけどさあ、これ。一応お近づきのしるし。」

ピカチュウは持ってきたお菓子の入った箱を差し出した。

テッカニン「む、なんだそれは。はは〜ん。さては、毒でござるな!」

ピカチュウ「違うよっ!」

テッカニン「その手にはのらんっ!!忍法・みだれひっかきの術!!」

ズタズタに引き裂かれるお菓子。

ピカチュウ「なにすんだよっ!つーか忍法じゃねえよ!」

ピカチュウの突っ込みもむなしく、お菓子は無残な姿になってしまった。

ピカチュウ「あ〜あ。だから毒じゃないって言っただろ〜。このお菓子おいしいのに・・・。」

テッカニン「き、貴様・・・拙者のお菓子になんてことを・・・!許さんでござる!!」

ピカチュウ「お前がやったんだよ!!」

テッカニン「問答無用!忍法・砂かけの術!!」

ピカチュウ「うわっ!この野郎!十万ボルト!!」

テッカニン「ぬあああああああ!!む、無念でござる・・・。ぐふっ。」

テッカニンは力尽き、画鋲マキビシの上に落下した。

テッカニンの叫び声が聞こえる中、ピカチュウは次の部屋へ向かった。


ピンポーン

ガチャッ

マクノシタ「ぶふっ。誰?」

ピカチュウ「あ、僕、引越ししてきた2組のピカチュウです。」

マクノシタ「ぶふっ。僕、マクノシタ。5組。」

ピカチュウ「あ、これお近づきのしるしに。」

マクノシタ「ぶふふっ。それお菓子?お菓子?いい奴だな、お前。ぶふっ。少しあがってけよ。」

ピカチュウ「え、ああ、じゃあ少しだけ・・・。」

断るのも悪いので、ピカチュウは家にあがらせてもらった。

と、共にピカチュウは驚愕した。

ピカチュウ「う、何これ・・・。」

マクノシタ「ぶひっ。なに?知らないの?魔法少女モココちゃんのフィギュアに決まってんじゃん。ぶひひひひ。」

ピカチュウ「(オタクだ〜!!気持ちわり〜!!)」

マクノシタ「ぶひひっ。んでさ、こっちがマジカルナースハピナスたん。ぶふふっ。萌え〜。」

ピカチュウ「おじゃましましたっ!!」

ピカチュウは逃げるように出て行った。


ピカチュウ「はあ、次はどんな人だ?」

ピンポーン

ヤルキモノ「ん?君はどなたかな?」

ピカチュウ「新しく引っ越してきたピカチュウです。今日は挨拶に来ました。これ、お近づきのしるしに。」

ヤルキモノ「・・・い、今時こんなに丁寧に引越しの挨拶をしに来るなんて・・・!なんて感心な!」

ピカチュウ「いや〜そうですかねえ?」

ヤルキモノ「いやいやいや!俺は猛烈に感動している!うおおおおおおお!なんて、なんて凄い男なんだあああ!!!」

ヤルキモノは大量の涙を流し始めた。

ピカチュウ「(なんか暑苦しいな・・・。)」

ヤルキモノ「・・・はっ!申し遅れた!俺は5組のヤルキモノだ!これから3年間、共に素晴らしい高校生活を送っていこう!」

ピカチュウ「は、はい。そうですね。」

ヤルキモノ「よし、そうと決まれば!さあ!明日に向かってダッシュだあああああああああああ!!!」

ヤルキモノは猛ダッシュで何処かへ走り去っていってしまった。


ピカチュウ「はあ・・・。次こそはまともな人でいて欲しいなあ・・・。」

ピンポーン

ピンポーン

ピカチュウ「留守か。じゃあ今度でいいや。ってことは次で最後かな?」

ピンポーン

デオキシス「誰だ!誰だ!誰だああああああああああ!!!」

ピカチュウ「うわ、うちのクラスのデオキシス。」

デオキシス「てめえはうちのくらすのピチューじゃねえかあああああああ!!もう俺の名前覚えてくれたのかあああああ!!嬉しいぜええええええええええええええっっっ!!!」

ピカチュウ「そりゃあ君ほど濃い奴ならね・・・。つーか僕ピチューじゃなくてピカチュウだから。そっちが僕の名前覚えて無いじゃん。」

デオキシス「ひゃあおおおおおおおおお!!気にするなああああああ!!で、何のようだああああああああ!!!」

ピカチュウ「いや、僕もこの寮に入ることになったから・・・挨拶に。これ、お近づきのしるしに。」

デオキシス「うおっほおおおおおおおお!!ありがとよおおおおおおおおおおおお!!!思わずアタックフォルムになっちまうぜえええええええええ!!!」

ピカチュウ「そ、そうですか。じゃ、僕はこれで・・・。」

挨拶回りだけなのにどっと疲れたピカチュウだった。


その夜

デオキシス「うめえええええええええ!!!うめえぜええええええ!!このお菓子はうめえええええええええ!!デリシャアアアアアアアアアアアアスッ!!!」

その隣の部屋

アブソル「うわあああ!隣の家の人がうるさくて眠れない〜〜〜!もうこの部屋嫌だあ!誰か助けて〜〜〜!!」

留守にしていたのはこの高校に進学していた1組のアブソルだったとさ。

ちなみにピカチュウはこの後、アブソルの家が留守だったことなどすっかり忘れ、結局挨拶せずじまいになるのであった。
続く


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