ポケモン島で2学期が始まってしばらくしての事だった。

ある日、急遽ポケモン島は外出禁止になった。

動物が大好きなミュウツーの家の猛獣珍獣がぞろぞろ逃げてしまったのだ。

そんなわけで、ピカチュウも自宅で退屈そうにすごしていた。

ピカチュウ「まったく、大変なことになったよなあ。遊びにも行けないし、退屈だなあ。」

ピンポーン

ピカチュウ「は?誰だ?今は外出禁止のはずだぞ?」

警戒しながらピカチュウは玄関の扉を開けた。

ガチャッ

ミュウツー「ううっ。ピカチュウ。助けてくれ・・・。」

そこには涙と鼻水と汗を大量に顔から発しているミュウツーの姿があった。

ピカチュウ「ぎゃあああああああ!!」

ガチャッ

ミュウツー「ま、待ってくれ!閉めないでくれ!見捨てないでくれ!頼む!話だけでも聞いてくれ!!」

ピカチュウ「な、なんだよ。だいたい、お前は今そんなことしてる場合じゃないだろ?ちゃんと自分の動物なんだから責任とって自分で捕まえろよ。」

ミュウツー「そうしたいんだけど一人じゃ無理なんだよ〜。頼むから協力してくれよ〜。他にも何人かあたったんだけど全然協力してくれないんだよ〜。」

泣きながら頼むその姿にもはや最強のポケモンの面影は無い。

ピカチュウ「やなこった。お前のペットってライオンとかいるじゃないか。冗談じゃないや。警察とかは動いてるんだろ?そんなら僕の出る幕はないね。自分大事だし。」

ミュウツー「(くっ。なんて嫌な主人公だ・・・。)頼む!大切な動物たちの為なんだ!カルピスやるから!頼む!!」

ピカチュウ「いらね。悪いけど他をあたってちょ。」

ミュウツー「くっ!こうなったら掃除用具入れに穴あけたのお前だってばらすぞ!」

ピカチュウ「は!?やめろよ!」

ミュウツー「それだけじゃないぞ!お前、ガラス割ったり、授業中に隠れてお菓子食べたり、プリンのリコーダー盗んだりしてただろう!全部ばらすぞ!!」

ピカチュウ「やめろ!ばらすな!最後のは僕じゃなくてヘラクロスだけど。」

ミュウツー「そしてとどめはこれだ!このカセットテープを聴け!!」

カチッ

「”ムニャムニャ・・・あ〜、カレーライス・・・。むにゃむにゃ。バケツむにゃむにゃ。あっちとこっちがむにゃむにゃ・・・。あはははは・・・。”」

ピカチュウ「こ、これは・・・!」

ミュウツー「お前の寝言テープだ。みんなに聞かせるぞ。まったく意味わからないけど。」

ピカチュウ「ひ、卑怯だぞ!」

ミュウツー「いいから手伝え。初期に比べてここ最近出番減り気味だろ?主人公のくせに。」

ピカチュウ「む・・・。で、なんであんなになついてた動物達が逃げたんだ?」

ミュウツー「散歩させようと思って檻の扉を開けたらその時ちょうど地震がおこってそれでビビって・・・。結局残ってたのはここにいるミューちゃんとワンちゃんだけだ・・・。ううっ・・・。」

ピカチュウ「はあ、仕方ないなあ・・・。じゃ、行くか。」

ミュウツー「さすがピカチュウ!じゃあ行こう行こう!」

ピカチュウとミュウツーはそんなこんなで結局一緒に動物を探しに行くことになった。


ミュウツー「警察と大人数人とホーホー隊とオニスズメ隊は既に動いているんだ。しかしどいつもこいつも頼りにならなくてな。」

ピカチュウ「ホーホーとオニスズメなんて動かない方がいいよな・・・。」

ミュウツー「しかしどこへ逃げたんだか・・・。きっとみんな心細くて気が立ってるに違いない。」

その時、ミュウツーの愛犬、ワンちゃんが吠えだした。

ワンちゃん「ワン!ワン!」

ミュウツー「ん?どうしたワンちゃん。カルピスか?」

ピカチュウ「(この犬・・・。カルピス飲むって普通の犬じゃないよなあ・・・。一体何者なんだ?)」

ワンちゃん「ワン!ワン!」

ミュウツー「・・・ん?あ!あれは!ゴリラのゴリちゃん!!」

ポケモン公園に堂々とゴリラが歩いている光景は、なんとも奇妙だった。

ゴリちゃん「ウッホウッホ!!」

ピカチュウ「うわ、すげえ気が立ってるぞ!!胸たたいてる!!」

ミュウツー「ほらゴリちゃん、私だ、ミュウツーだ。ほらおいで。」

ゴリちゃん「ウッホウッホオ!!」

ミュウツー「うわ、ほら私だってば!!くそ、ゴリちゃんがこんなに暴れるとは・・・。」

ピカチュウ「まあここは僕に任せてよ。」

ミュウツー「あ、危ないぞピカチュウ!近づくな!!」

ピカチュウ「十万ボルト!!」

ゴリちゃん「ウホギャアアアアアアアアアア!!!」

ミュウツー「キャアアアアアアアアア!!ゴリちゃああああああああああん!!!」

ピカチュウ「ほら、捕まったぞ。」

ミュウツー「なにしてんだてめええええええええ!!もっと優しく捕まえろ優しく!!死んじゃったらどうすんだよこのアホオ!!」

ピカチュウ「なんだよ、捕まったからいいじゃんか・・・。」

ミュウツー「ちっ。ミューちゃん、ゴリちゃんを家に連れて帰ってくれ。」

ミューちゃん「ミュー!」


しばらくして・・・。

ピカチュウ「ふう、全然見つからないなあ・・・。」

ミューちゃん「ミュー!ミュー!」

ミュウツー「む、ミューちゃん。どうした?うむ、そうか。ニャーちゃんとポンちゃんとレサちゃんは見つかったのか。」

ミューちゃん「(ミューちゃんの言葉がわかるのか・・・。)」

その時、外出禁止のはずの場所を一人歩いている男がいた。

ピカノ「お、ミュウツーとピカチュウじゃないか!」

ピカチュウ「ゲ、ピカノ・・・。お前も捜査チームに加わってたのか・・・。」

ピカノ「実はスズメがさあ、見分けがつかなくてよお。とりあえず全部捕まえといたんだが、この中にいるのか?チュンちゃんは。」

ピカノは大量のスズメが入った網を引きずってきた。

ミュウツー「・・・・・・・・。お、いたいた!チュンちゃんだ!」

その中から、平然と自分の飼いスズメを見つけるミュウツー。

ピカチュウ「(・・・なんでわかるんだ?全部同じにしか見えないが・・・。)」

オニスズメ「コラア!貴様!誇り高きオニスズメ隊の隊長を捕まえたりして覚悟はできてるんだろうなあ!!」

ピカチュウ「あ、お前もいたんだ。じゃ。」

オニスズメ「コラア!貴様!無視するな!!」

ピカチュウ「・・・。おい、オニスズメ。」

ピカチュウ達の表情が変わった。

オニスズメ「・・・む?どうした?」

ピカチュウ「後ろ・・・。」

オニスズメ「え・・・?」

「シャアアアアアアアアアア・・・」

そこにいたのは、大口を開けたニョロちゃん(ヘビ)だった。

オニスズメ「ヘビって鳥も食べるのか?」

ピカチュウ「さあ・・・。もしかしたら食べるかもね・・・。」

ニョロちゃん「シャアアアアアアアアアアア!!!」

オニスズメ「ぎゃあああああああああああ!!」

ピカチュウ「オニスズメ!逃げろ!!」

ピカノ「よし!今助けるぞ!破壊こうせ・・・」

ミュウツー「バカ!やめろ!ニョロちゃんを殺す気か!!」

ピカノ「おいミュウツー!ニョロちゃんとオニスズメどっちが大事なんだよ!」

ニョロちゃん「ニョロちゃんに決まってるだろうがボケがああ!!!」

ピカノ「・・・ミュウツー、お前そこまで・・・。よし、わかった。破壊光線はやめよう。」

オニスズメ「やめるなバカ!!うわあ、こっち来るな!!ってぎゃああああああああ!!!」

オニスズメは食われた。

ニョロちゃん「オエッ。」

と、思ったら吐き出された。

ピカチュウ「へぇ、不潔でもいいことあるんだな・・・。」

オニスズメ「くっ。うれしくない!!」


ワンちゃん「ワン!ワン!」

ミュウツー「む、どうしたワンちゃん?」

ホーホー「うおお!!ネズミだネズミ!!絶対に捕らえろ!大切な食料だぞ!!」

ホーホー隊隊員「ホーーーーーーー!!」

ミュウツー「あ!あれはハムスターのハムちゃん!!やめろおおおおおおお!!!サイコキネシス!!」

ホーホー「ぐはあ!!」

ミュウツー「怖かったかハムちゃん。よしよし・・・。大体このハムちゃん、クリスマスの時にお前がくれた奴だろうがまったく。」

ピカチュウ「お前さっきのゴリラもヘビもそのサイコキネシスでもっと楽に捕まったんじゃないのか・・・?」

ミュウツー「む、そういえば・・・。じゃあ次からはそうするか。」

オニスズメ「ふはは!ざまあないなホーホー!」

ホーホー「む、貴様はオニスズメ・・・。なんでお前ベトベトなんだ?」


ピカチュウ「ふう、すっかり夜になったな・・・。」

ピカノ「でもだいたい捕まったじゃないか。他に何が残ってるんだ?」

ミュウツー「・・・ニワちゃんがいないな。」

ピカチュウ「ニワトリの?」

ミュウツー「いや、ワニの。」

ピカチュウ「なんでワニだけ名前を逆にしてるんだ!?」

ミュウツー「お、お前らがあんまり名前にひねりがないって言うから・・・。」

ニワちゃん「ガアアアアアアアアア!!!」

ピカチュウ「ってでたああああああああああ!!!」

ピカノ「ピカチュウ!お前おとりになれ!」

ピカチュウ「なに!お前こそおとりになれ!!」

そんなことを言いながらお互いを押し合うピカノとピカチュウ。

ホーホー「く、かくなる上は・・・、さらばだ!!」

オニスズメ「無事を祈る!!」

ピカチュウ「ホーホー!オニスズメ!逃げるな!!」

ガブッ

ピカノ「ぎゃあああああああああああ!!」

ピカノにかみつくニワちゃん。

ピカチュウ「さようならピカノ・・・。」

ミュウツー「サイコキネシス!!」

ニワちゃんは動きが止まった。

ミュウツー「よし、ミューちゃんよ、ニワちゃんも家に連れてってくれ。」

ミューちゃん「ミュー!」

ピカノ「あーいてえ。もっと早くやってくれよ・・・。」

噛まれ損のピカノがぼやく。

ミュウツー「よし、最後はこれでライオンのライちゃんだけになったわけだが・・・。」

ピカノ「あ、俺帰るわ。じゃ。」

ピカチュウ「待てピカノ!逃げるな!!」

ピカノが帰ろうとしたその時だった。遠くに何かの陰が見える。

ライちゃん「ガオオオオオオオオオオオ!!!」

ミュウツー「あ、あれはライちゃんだ!!」

ピカノ「森に入っていくぞ!!」

ミュウツー「う、森か・・・。夜の森にはあまりいい思い出がないのだが・・・。」

ピカチュウ「何言ってるんだよ!ライちゃんのためだろ!ほら!お前がいないと捕まらないだろ!」

ミュウツー「うう・・・。」

ピカチュウはビビるミュウツーの手を引っ張りながら森に入っていった。

ピカチュウ「さて、ライちゃんはどこだ?」

ガサガサ・・・

ミュウツー「ヒイイ!!」

またしてもビビるミュウツー。

ピカチュウ「風!風の音だよ!」

ピカノ「ワッ!!」

ミュウツー「うっぎゃああああああああああああ!!!!!」

ピカノが驚かすと、ミュウツーは一目散に走り去っていった。

ピカチュウ「あっ!ミュウツー!おい!」

ピカノ「ぎゃはははははははは!!」

ピカチュウ「ピカノ!なに驚かしてるんだよ!ミュウツーが逃げちゃっただろ!!」

ピカノ「はははははは!いや〜、本当にあいつって恐がりなんだなあ。はっはっはっはっは。」

ピカチュウ「あははじゃないだろ!こんな時にライオンがでたら・・・」

ライちゃん「ガオ?」

ピカチュウ&ピカノ「でたあああああああああああああああ!!!!!」

ピカノ「うわあああああ!!もう傷つけるなとかの問題じゃないだろ!くそ、破壊光線!!」

ピカチュウ「十万ボルト!!」

ライちゃん「ガオオオオオオオオオオ!!!」

ピカチュウ&ピカノ「ぎゃあああああああああああ!!!」

あまりの迫力に二人の手元がくるい、破壊光線と十万ボルトは外れた。

ライちゃん「グルルルルルルルル・・・ガオオオオオオオオ!!!」

今ので完全に敵と認識したのか、ライちゃんはピカチュウとピカノを襲ってきた。

ピカチュウ「ひいい!逃げろ!!」

ライちゃん「ガオオオオオオオオオオオオ!!」

ピカノ「わああああああああああ!!!」

今まさにライちゃんが大口を開けて飛びかかったその時、空からどこかで見たようなポケモンが助けに来た。

ルギア「エアロブラスト!!」

ライちゃん「グオアアアアアアアア!!!」

ピカチュウ「は、誰?」

ルギア「ルギア警備隊だ!!助けに来たぞ!!」

ピカノ「た、助かった・・・。」


ライオンを安全なところに送った後、ピカチュウ達はルギアと森を出た。

ルギア「そんなわけで、どうにか全ての動物が捕まったようですね。」

ピカチュウ「はあ、それはよかった・・・。あの、ところでルギアさん、ちょっと聞いていいですか?」

ルギア「ん?」

ピカチュウ「あんたプールの監視員とか救助隊とかニュースのレポーターとかいろいろなところで見るけど何者なんすか?」

ルギア「・・・フッ。それはヒ・ミ・ツ♪

ピカチュウ「(こいつうぜ〜・・・。)」


その頃、ミュウツーはワンちゃんを抱えてポケモン島南地区あたりを必死で走っていたそうだ。
続く


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