朝。教室でフーディンがヘラクロスに話しかけてきた。

フーディン「おうヘラクロス!お前、今日は運がいいぞ!」

ヘラクロス「ん?ああ、占い師のフーディンか。なんでだ?」

フーディン「今日のお前は大吉と私の占いにでている!!」

ヘラクロス「なに?本当か?」

フーディン「もちろん本当だ!特に恋愛運がとんでもなく好調だぞ!アタックするなら今だ!」

ヘラクロス「そうか!よーし!じゃあ今日プリンをデートに誘ってみよう!!」


昼休み。ヘラクロスは早速プリンにアタックしていた。

ヘラクロス「プリン!今日さー、」

プリン「いや!」

ヘラクロス「(ガーーーン!!)なんで!?まだ何も言ってないのに!!」

プリン「今日はピカチュウ君と遊びに行く約束があるの!まああんたとなんか約束が無くてもごめんだけどね!」

ヘラクロス「そんな!!プリン!考え直してよ!!」

プリン「いや!」

ヘラクロス「そんな殺生な!待ってくれ!!」

プリン「いや!」

ヘラクロス「そこをなんとか!ピカチュウとの約束なんかほったらかしてさあ!!」

プリン「いやって言ってるでしょ!!しつこいの!!」

ヘラクロス「がーーーーーーーーーん!!」

そう言い残すとプリンは早々と教室を出て行ってしまった。

こうなると怒りの矛先は何故かピカチュウに向けられる。

ヘラクロス「くそ、なんでプリンはいつもいつもピカチュウ君、ピカチュウ君なんだ!!なんであんな電気ネズミが!!」

気が付くとヘラクロスは一人で教室の掃除用具入れに頭突きを繰り返していた。掃除用具入れはもうボロボロである。

ヘラクロス「よし、ピカチュウに決闘を申し込もう!!それで俺が勝てばプリンは認めてくれるに違いない!!」

こうなるともう止まらない。ヘラクロスはすぐさまピカチュウに喧嘩を売りに行った。

この行動力を他に生かせるとどんなにいいだろうか。


そうとは知らず、ピカチュウはレオンとのんきに会話しながら下校していた。

ピカチュウ「んでさあレオン、ヤドランとロコンちゃんは僕とプリンと同じ関係だったんだよ。」

レオン「ええっ!!?や、やっぱり恋人同士だったの!!?あは、あはははははは・・・。」

ピカチュウ「待て!僕とプリンと同じ関係って言ってどうしてそうなるんだよ!幼なじみって事!」

レオン「え?あ、そうなの?いやー、また早とちりしちゃったなあ。」

ピカチュウ「まったく・・・。」

ヘラクロス「おいコラ!ピカチュウ!!」

ピカチュウ「ん?誰?うわ、ヘラクロス!!何か用?」

ヘラクロス「俺は貴様に決闘を申し込みに来た!!」

ピカチュウ「はぁ?」

ヘラクロス「どちらがプリンにふさわしい男かを決める決闘だ!!とにかく!今から浜辺に来い!!」

ピカチュウ「やってらんないよ。一人でやってればいいだろ?」

ヘラクロス「じゃあ俺がプリンをもらってもいいんだな?」

レオン「まずいよピカチュウ君!きっとまたあいつ、プリンちゃんをさらっていくつもりだよ!!」

ピカチュウ「あー、もう!わかったよ!決闘だな?浜辺なんかより今ここで・・・。」

ヘラクロス「ダメだ!決闘といえば浜辺なんだ!」

ピカチュウ「あー、うざいうざい!わかった!わかったよ!行けばいいんだろ?」

ヘラクロス「よし、決まりだな!先に浜辺にて待つ!!」

ヘラクロスはそう言って浜辺に向かって先に飛んでいった。

レオン「ねえピカチュウ君、いいの?あんな事言って。」

ピカチュウ「どうせ十万ボルトの一撃で終わりだよ。」

レオン「そうかい?それならいいんだけどさ。」

ピカチュウ「それよりさあ、レオンは絶対にロコンちゃんをめぐる決闘だ!とかヤドランに言いに行くなよ?」

レオン「しないよそんなこと!!」

ピカチュウ「しかしなんでサワムラー軍団にしろヘラクロスにしろこの島には変態が多いんだろうな・・・。」

レオン「さ、さあ・・・。とにかく僕はプリンちゃんを呼んでくるから!!」


こうしてレオンがプリンを連れてきた後、浜辺で決闘が始まった。

ヘラクロス「ガハハハハハ!!よく逃げずに来たなピカチュウ!!」

ピカチュウ「いいから早くしようよ?こっちにも予定があるんだから。」

ヘラクロス「そうやって余裕をかましてられるのも今の内だ!!これを見ろ!!」

何を考えているのか、ヘラクロスは奇怪な物を着始めた。

ぶっちゃけ今攻撃してしまえばいいのだが、ヘラクロス相手にそこまですることもない。

ピカチュウ「・・・それは?」

ヘラクロス「特性ゴムスーツ!!たまっちに350円で作ってもらった!!これで電気は効かないぞ!!」

ピカチュウ「でんこうせっか!!」

ヘラクロス「ごべあっ!!」

ヘラクロスは数メートルふっとび、海に落ちていった。

ヘラクロス「うわあああああ!!助けてくれ!!俺は泳げないんだ!!」

プリン「しばらくそこで頭冷やしたら?」

ヘラクロス「そんな殺生な!助け・・ぶくぶくぶく・・・。」

今まさにヘラクロスが沈もうとした時、何かが上空から飛んできた。

ピカチュウ「なんだなんだ?」

ルギア「ルギア救助隊参上!!今助けるぞ!!」

ルギアはヘラクロスを地上に引き上げると早々に去っていった。

ピカチュウ「ねえレオン、今のさー・・・。」

レオン「うん。プールの監視員やってた人のはずだよね・・・。」

ヘラクロス「ぐはっ!!た、助かった!!よし!まだだ!まだ終わってないぞ!!」

ピカチュウ「まだやるの?そろそろ帰ってプリンと遊びに行きたいんだけど?」

ヘラクロス「そうはさせん!こっちはマジメにやってるんだ!!」

プリン「だから私はしつこい奴はイヤだって言ってるのに!もう!あんたのせいでピカチュウ君と遊びに行けなくなっちゃうじゃない!」

ヘラクロス「とにかく今度はこっちの攻撃だ!!うおおおおお!!」

ピカチュウに向かってものすごい勢いでつっこんでいくヘラクロス。

捨て身の突進攻撃である。

しかしそのとき。

ズドーーーン!!


いきなり何かとてつもなく巨大な物が海から飛び出してきた。

どうやらポケモンのようである。

「ラプラスーーーッ!!!」

ピカチュウ「こ、今度はなんだ!?」

レオン「うわ、ラプラスだ!しかも妙にでかい!」

ピカチュウ「はぐれポケモンか!?」

ここで言うはぐれポケモンとは、ポケモン島にやって来たばかりのポケモンのことである。もちろん、言葉はしゃべれない。

ラプラス「ラプラスーーー!!!ラプラスーーー!!!」

ピカチュウ「うわ、でかい癖に暴れるな!別に僕らは敵じゃないって!!」

ピカチュウ達が敵じゃないことがわかり、なんとかラプラスも落ち着いたようだ。

レオン「ん?ところでヘラクロス君は?」

ピカチュウ「・・・・・あれ?さっきまでそこで騒いでたのに。」

レオン「ねえラプラス君、ちょっとそこどいて!」

ラプラス「ラプラス〜?」

なんとなく言葉の意味が通じたようで、ラプラスはそこをどいた。

キレイハナ「ヘラクロス君!」

レオン「あ、あれはキレイハナさんだ。どうしたんだろう?」

キレイハナ「インチキのフーディンがまた馬鹿なこと言ったらしいけど、今日のヘラクロス君の運勢は『大凶』で、特に『恋愛運』は最悪!しかもこの『浜辺』には絶対に近づいてはいけないので気を付けてくださいって言おうと思ったのですが・・・。」

ピカチュウ「いや、もう遅いみたい・・・。」

案の定、そこにはラプラスの巨体につぶされたヘラクロスの姿があった・・・。

さすがに哀れに思ったピカチュウ達はヘラクロスにしばらくやさしくしてあげたそうだ。
続く


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