ここはヤドラン家。

ピカチュウはヤドランの家に遊びに来ていた。

ただしその家は地下にあった。

ピカチュウ「なんかうす暗いなあ・・・。」

ヤドラン「地下だからな。」

ピカチュウ「何で地上に家を建てないの?」

ヤドラン「ここは昔は隠れ家だったんだ。俺のいた不良一味の。」

ピカチュウ「不良?ヤドラン、不良なんかやってたの?」

ヤドラン「ああ、これがその写真。」

その写真にはヤドランを中心にコダック、ウツドン、シェルダーの4人が写っていた。

ピカチュウ「(ぱっとしないメンバーだなあ・・・。)」

ヤドラン「みんなボーっとした感じだろ?だから『ボーッ一族』って名前だったんだぜ。」

ピカチュウ「(変なネーミング・・・。)不良っていったいどんなことしてたの?」

ヤドラン「そりゃあもうメチャクチャ悪い事さ。」

ピカチュウ「まさか窃盗とか暴力とか?」

ヤドラン「全部10円で買い物してレジのおねえさんを困らせたり信号無視したり鳩にむかって小石投げたり、外にガム吐いたり、試食コーナーの食べ物を全部食べちゃったり。」

ピカチュウ「(・・・アホか?)で、なんで不良をやめたの?」

ヤドラン「ロコンちゃんが『もう馬鹿なことやめて!』って言うからさあ。仕方なく。」

ピカチュウ「ロ、ロコンさん!?(汗)あのさあ、ヤドランってさあ、その・・・ロコンさんとどういう関係なの?」

ヤドラン「あ?幼なじみだが?」

ピカチュウ「え?ああ、そうなの?じゃあ僕とプリンの関係と同じか!」

ヤドラン「なんでそんなこときくんだ?」

ピカチュウ「いや、別に・・・。」

ヤドラン「とにかくそこに座ってろよ。今お茶でも入れるから。」

ピカチュウ「うん。ありがとう。」

ヤドラン「あまり変なものさわるんじゃねえぞ?」

そういうとヤドランは隣の部屋に行ってしまった。

ピカチュウ「変なものねえ・・・。確かに変わった物ばかりあるなあ。ん?テレビだ。これでも見てるか。これがスイッチかな?」

ポチッ


映像が映し出された。どこかで見たような風景だ。

ピカチュウ「・・・ってあれ?これって地上の景色じゃないか。これは地上を映すモニターだったのか?」

ピカチュウはなんとなく左の小さいボタンを押した。ヤドランの忠告も忘れて。

ポチッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


地響きのような音が聞こえる。

ピカチュウ「なんだなんだ?何の音だ?」

音に気付いたヤドランは血相を変えて部屋から出てきた。

ヤドラン「ああっ!お前、何をしてるんだ!!」

ピカチュウ「え?ご、ごめん。ちょっと何かなと思ってさ。」

ヤドラン「馬鹿野郎!それは大砲の起動スイッチだぞ!!発射しちまうぞ!!はやく元に戻せ!!」

ピカチュウ「ええっ!大砲!?なんでそんなものがあるんだよ!!」

ヤドラン「元不良だからな。」

ピカチュウ「関係ないだろ!!ど、どうしよう!!」

ヤドラン「いいかピカチュウ!右の小さいボタンを・・・」

ピカチュウ「これか!」

ポチッ


ヤドラン「ダアアアアアアアッ!!押してはダメだって言おうと思ったのにいいいいい!!」

ピカチュウ「なにいいいいいいいい!!?」






チュドーン!!






もはや手遅れだった。

とてつもない爆音と共に大砲の弾が発射される場面がしっかりとモニターに映し出されていた。

ピカチュウ「あわわ・・・。は、発射しちゃったよ!!どうしようヤドラン!!」

ヤドラン「そりゃあお前・・・。とりあえず大砲をしまってしらばっくれるしかないだろうよ。」

ピカチュウ「うう・・・。被害者とか出てないだろうな・・・。」

次の日、学校


ピカチュウ「おはよー。」

レオン「あ!おはようピカチュウ君!ところで聞いた?昨日ドガース君の家で大爆発が起こったんだって!!」

ピカチュウ「えええっ!!?」

レオン「ドガース君の家って貧乏なのに・・・。かわいそうになあ・・・。」

ピカチュウ「あわわわわわわ・・・。」

レオン「どうしたのピカチュウ君?」

ピカチュウ「それってもしかして大砲じゃ・・・。」

レオン「大砲?1組のビリリダマ君が事故って家につっこんで大爆発したらしいけど?」

ピカチュウ「そうなの?なんだよヒヤヒヤしたなあ・・・。」

レオン「ピカチュウ君、汗だくだよ?熱でもあるの?」

ピカチュウ「いや、なんでもないんだよ。あはははははは・・・。」

ピカチュウの笑いは明らかに乾いていた。


たまっちは家に帰るなり無惨な姿になっている我が家に気付いた。

たまっち「あれまー。なんかしばらく留守にしてたら家がバラバラになってるもん。」

腕時計「イッタイ何故コンナコトニ・・・。」

たまっちの愛用している会話機能付き超高機能腕時計君も唖然としていた。

たまっち「シンタロウ、お前見てなかったもんか?」

シンタロウ「シリマセンナ。キョウハズットバッテリーヲヤスメテタカラナ。」

たまっち「いやー困ったもん。仕方ない、今日はこのまま寝ちまうもん。」

腕時計「馬鹿者。外デナド眠レルカ。早ク家ヲ直セ。寒イゾ。」

シンタロウ「ウデドケイノクセニサムイノカ?」

腕時計「オマエニ言ワレタクナイ!」

たまっち「腕時計もシンタロウも早く寝るもんよ〜。」

その後、ピカチュウがこの時の大砲の弾が何処に行ったのか知ることは永遠になかった。
続く


戻る   次の話
[PR]動画