ある日の教室。いつもと変わらぬ休み時間。

ミュウ「ピカチュウ君!」

ピカチュウ「うわ、学級委員のミュウ君。なんだよ、いきなり。」

ミュウ「今日さ、ヒマかな?」

ピカチュウ「ヒマといっちゃヒマだけど・・・何で?」

ミュウ「いつも休んでるフシギダネ君のことは知ってるね?」

ピカチュウ「ああ、あんまりどんな奴か知らないけど・・・それがどうかしたの?」

ミュウ「僕さ、心配だからピカノ先生と一緒に今日フシギダネ君の家に行きたいと思うんだけど君も来てくれないかな?」

ピカチュウ「何で僕なんだよ、別に仲がいい訳じゃないのに。」

ミュウ「うん、ピカノ先生が是非ピカチュウ君もって言うから。」

ピカチュウ「くそ!ピカノか!!はあ・・・どうせ無理にでも連れて行かれるんだろうな・・・。」

ミュウ「で、来てくれるの?くれないの?」

ピカチュウ「わかったよ行くよ!行けばいいんだろ?どうせヒマだし。」

ミュウ「さすがピカチュウ君!物わかりいいね!じゃあ放課後にね!」


放課後、ピカチュウ、ピカノ、ミュウはフシギダネ家の前に来ていた。

ミュウ「フシギダネ君!僕だよ!学級委員のミュウだよ!」

ピカノ「フシギダネ!俺だよ!担任のピカノだよ!」

ピカチュウ「フシギダネ、僕だよ、クラスメイトのピカチュウだよ。(棒読み)」

ガチャ・・・

ドアが開いてフシギダネがでてくる。

フシギダネ「・・・なんだお前ら。何しに来たんだよ。」

ミュウ「フシギダネ君!どうして学校に来ないんだ!」

単刀直入に聞くミュウ。

フシギダネ「ああ?面倒くさいからな。」

フシギダネもまたあっさりと答えた。

ミュウ「面倒くさいって・・・じゃあいったい家で何をしてるんだ!!」

フシギダネ「ああ、テレビを見たりゲームしたり漫画を読んだり・・・勉強よりずっと楽しいぜ。」

ピカノ「そうだよなあ、そりゃあ勉強より遊んでる方が楽しいよなあ!」

ミュウ「先生!同意しないでください!!じゃあフシギダネ君は将来どうするつもりなんだい!?」

フシギダネ「将来?ピカノみたいないいかげんな奴でも職につけるんだからどうにかなるんじゃねえの?」

ピカノ「んだと?おいコラ!今のは聞き捨てならんぞ!!」

ミュウ「フシギダネ君!君は人生をなめてるのか!!ほら、ピカチュウ君!君も何とかいってやってよ!!」

ピカチュウ「僕が?ええと・・・学校には来た方がいいよ。」

フシギダネ「知るか。ってかお前誰だよ。」

学校に来てないフシギダネはピカチュウのことを全く覚えてなかった。


話が進まないところに、一匹のポケモンがフシギダネ家に訪れた。

「フシギダネくーん!」

ミュウ「ん?あれは3組のゼニガメ君じゃないか!」

フシギダネ「ようゼニガメ。遊びに来たのか?」

ミュウ「ゼニガメ君はフシギダネ君と仲がいいのかい?」

ゼニガメ「んあー。」

ゼニガメはよく分からない返事をした。

ピカチュウ「なんだよ、変な奴だな。」

フシギダネ「ゼニガメは少しアホだからな。」

ゼニガメ「僕はアホじゃないぞー!」

フシギダネにアホ呼ばわりされ、迫力のない顔で怒るゼニガメ。

ミュウ「そうだ!ゼニガメ君からも言ってやってよ!フシギダネ君に学校に来るようにさ!」

ゼニガメ「フシギダネ君、学校にいこーよー。」

ピカチュウ「うわー、説得力ねー・・・。」

ミュウ「ほら、ゼニガメ君もこういってることだし学校に行こうよ!」

フシギダネ「・・・・・・・。」

親友のゼニガメが来たからか、フシギダネは黙り込んでしまった。

ミュウ「フシギダネ君、何か悩みがあるなら正直に話してくれないか?」

フシギダネ「あぁ?悩みなんてねえよ!面倒なだけだって言ってるだろうが!」

ミュウ「そんなことないだろう!?さあ、話してくれ!」

フシギダネ「・・・ちっ。わかった。正直に話す。学校は暑いから行きたくないんだ。」

ピカチュウ「はぁ?なんだよそれ。」

フシギダネ「俺は暑がりなんだ!学校は暑すぎていきたくなかったんだ!」

ピカチュウ「はあ、そうだったんだ・・・。」

みえすいた苦しい言い訳である。

ア、アホかこいつは・・・。

ピカチュウは心の中でそう思った。

ミュウ「ま、まあもうすぐ夏だからね・・・。暑くて当然だよ。」

ピカノ「よし!ちょうど俺も教室にクーラーが無いのがムカついてたんだ。なら教室にクーラー付けろって校長に頼んでやるよ!」

フシギダネ「い、いや、そこまでしなくても・・・。」

ミュウ「ほ、ほら、良かったねフシギダネ君!これで学校に行けるよ!皆待ってるよ!」

フシギダネ「ぐっ・・・。・・・ああ。」

もうこれ以上の言い訳は通用しないと悟ったのか、フシギダネは観念したように登校を決意した。

ピカチュウ「なんだ、あっさり解決しちゃったな。僕は何のために呼ばれたのか分からないよ。」

無理矢理連れてこられたのに出番がなかったピカチュウは無駄な時間を過ごしたとばかりに嘆いた。

フシギダネ「やれやれ、お前らにはまいったよ。そうだ、ここに来たついでにいい物をごちそうしてやるよ。」

ピカチュウ「いい物?」

フシギダネ「ああ、これだ。」

フシギダネは赤々とした球形の食べ物?が入った壺をもってきた。

ピカチュウ「うわ、何だよこれ!!すごい臭いだぞ!」

フシギダネ「俺の家に代々伝わる秘伝の梅干しだ!メチャクチャ酸っぱいけどこれが旨いんだ!」

自慢げに語るフシギダネ。

ピカチュウ「へえ・・・それじゃせっかくだから・・・。うわ、本当に酸っぱい!!」

ピカノ「いやあ、こりゃ飯に最適だ!いくつか貰っていくぞ!」

ピカノはすっかり梅干しが気に入っていた。

ミュウ「ひい、酸っぱい!ゼニガメ君はどうだい?」

ゼニガメ「うう・・・。」

ミュウ「ゼニガメ君?」

ゼニガメの様子が変だ。

ゼニガメ「ぎゃあああああああ!!酸っぱい酸っぱい酸っぱいいいいいいいいい!!!」

ゼニガメは涙と鼻水を流しながら暴れ始めた。

ピカチュウ「ど、どうしたんだゼニガメ!そんなに酸っぱかったか!?」

ピカノ「ギャハハハハハハ!!やっぱガキだな!!この程度で暴れ出すとは!」

ピカノはあわてるピカチュウ達を後目に大爆笑していた。

ゼニガメ「あああああああああ!!!水!水!みずうううううううう!!!」

ミュウ「しっかりするんだゼニガメ君!水ならここだ!」

ゼニガメ「ゴクゴク・・・、ぷはっ!!し、死ぬかと思った・・・。」

ミュウから水をもらったゼニガメはなんとか落ち着いたようだ。

ピカノは梅干しをもう一つ口に入れ、にやにやしながらその様子を見ていた。

ピカノ「最高だったぞゼニガメ!!今のお前の行動に対してお前をうめぼしと呼ぶことにしよう!」

ゼニガメ「嫌だよそんなの!ぺっぺっ!!」

ミュウ「何はともあれ、フシギダネ君が学校に行く気になってくれて良かったよ。」

ゼニガメ「ちっとも良くないよ!僕はこんな物を食べさせられてさんざんだ!」

ピカチュウ「とりあえず、折角だからもって帰ってピチュー達に食べさせてあげようかな・・・。」

ゼニガメ「えー!そんなの食べさせない方がいいよ!!」

ピカノ「うるさいぞ、うめぼし!!」

ゼニガメ「その名前で呼ぶなあああっ!!」

そんなわけで、こうしてゼニガメに素敵なあだ名が付いたとさ。
続く


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