ある日、平和なポケモン高校にエンテイが乗り込んできた。
エンテイ「た、大変じゃあ〜っ!!!」
ピカチュウ「うわ!エンテイ!この学校は部外者立ち入り禁止だぞ!」
エンテイ「そんなことを言っておる場合ではないんじゃ!!」
ルカリオ「あれ、エンテイさん。血相変えちゃってどうしたんですか?」
エンテイ「おお!ルカリオ君!マジで大変なんじゃ!しゃ・・・社長が・・・!社長がこの島にやってくるのじゃあああ!!」
ルカリオ「ええっ!?社長が!?どうして!?まずいじゃないですか!」
ピカチュウ「待って待って二人とも。社長って?」
ルカリオ「まあ早い話が神のポケモンのトップに立つお方ですね。ほら、一応神のポケモンって会社って形で組織されてるんで。」
ピカチュウ「はあ。社長が来るのってなにかまずいの?」
ルカリオ「まあ結構怖い人なんですよね・・・。すごいお方なのは認めますけど・・・。」
ピカチュウ「ふーん。神のポケモンも大変なんだね。」
ルカリオ「でもなんで急に社長がこんな辺境の島までいらっしゃるんですか?」
エンテイ「そ、それがの・・・。」
話の途中、急に空が暗くなる。
ルカリオ「あ!この空!」
エンテイ「しゃ、社長じゃあ!社長がおいでなされるぞ!!」
ライコウとスイクンに連れられ、社長と呼ばれるポケモンが姿を現す。
ライコウ「ささ、社長。こちらが地球の東ポケモン島でございます。」
スイクン「どうぞお気を付けてお降りくださいませ!」
そのポケモンこそ神のポケモンとしてトップに立つ男、アルセウスである。
アルセウス「・・・・・・・ふむ。ここがかつて人間に乱獲されかける事件が起こったという島か。して、案内人の少年というのはそこのピカチュウのことか?」
スイクン「はい!さようでございます!」
ピカチュウ「・・・え?なんだって?案内?」
アルセウス「聞いておらぬのか?私の愛娘、ディアンシーがこの島を観光したいと言っていてな。この島の一般ポケモンに案内を頼む予定だと聞いているが。」
エンテイ「はい!そのとおりでございますじゃ!このピカチュウが立派にディアンシー嬢を安全に快適にご案内いたしますので、どうぞ社長はご安心くださいませですじゃ!!」
アルセウス「ふむ。わかった。では頼んだぞ。おいでディアンシー。」
ディアンシー「こんにちは!私ディアンシー!うわ〜!ここが地球のポケモン島か〜!写メ撮ろっと!」
ピカチュウ「この子が娘さんか・・・。全然似てないな。どういう血縁なんだ・・・。」
エンテイ「神の中の神に常識は通用せぬのじゃ。」
ディアンシー「あ、もしかしてあなたが案内人?よろしくね!」
ピカチュウ「おい、そんなこと聞いてな・・・」
エンテイ「お前は黙っておれ!!」
アルセウス「エンテイ、ライコウ、スイクン。わかっているとは思うが、もし我が愛娘に万が一のことがあってみろ。お前たちのクビだけではすまんぞ・・・。」
エンテイ、ライコウ、スイクン「はっ!もちろんでございます!必ずや娘さんを無事に送り届けます!!」
アルセウス「うむ。その言葉を忘れるなよ。では私はいったん本社へ戻る。頼んだぞ。ディアンシー、楽しんでおいで。」
ディアンシー「はい、パパ!お仕事頑張ってね!」
アルセウスは宇宙へと飛んでいった。
エンテイ「と、いうことなんじゃ。頼んだぞ。」
ピカチュウ「なんで勝手に僕に決めてるんだよ!ふざけるな!!この島の今の神様ってダークライだろ!?あいつは!?」
スイクン「なんか忙しいって言ってたよな。」
ピカチュウ「嘘つけ!今あいつの3dsオンラインになってるぞ!」
エンテイ「頼むピカチュウ!フシギダネを引きこもりから救ったお前しか適任はいないんじゃ!!」
ピカチュウ「関係ない!まったく関係ないよそれ!!」
ディアンシー「ねえねえ。早く行こうよ?」
ピカチュウ「いや、それが・・・」
エンテイ「バカタレ!!社長を怒らせたらどうなると思ってるんじゃ!?」
ピカチュウ「そ、そんなに強いの?」
エンテイ「強さなんて必要ないんじゃ!あのお方はな、世界をも作り変えることができる力を持っておられるんじゃぞ!!特にアルセウス社長は娘のディアンシー嬢を溺愛しておられる!万が一のことがあればこの島どころかこの宇宙、この世界そのもの全てが終わるかもしれんぞ!!」
ピカチュウ「ひええ、責任重すぎ!ますますやりたくないよ!僕だってあの子を満足させる自信ないよ!」
ライコウ「じゃあエンちゃん、俺たちはここら辺で・・・。」
スイクン「そうだね、後は東地区の皆さんで頑張ってね・・・。それじゃ!」
ライコウとスイクンはその場から一目散に逃げ出した。そのまま全国各地の草むらを駆け回らんとする勢いである。
エンテイ「あ、ずるいぞお前たち!!」
ルカリオ「え、ええっと・・・。僕も今は神のポケモン休業中で学生の身なので・・・。それじゃ!」
ピカチュウ「ルカリオ!お前まで!」
ディアンシー「ねえねえ、まだ〜?」
ディアンシーは片手に雑誌「ポケモン島Walker」を持って準備万端である。
エンテイ「しょ、しょうがない・・・。これ以上ディアンシー嬢を待たせるわけにもいかん。ワシらだけで行くしかあるまい・・・。ああ、なんでよりによって出発点がワシの東地区なんじゃ・・・。お前も覚悟は決まったな?」
ピカチュウ「わ、わかったよ・・・。今回ばかりはどんなに文句言ってもダメっぽいっし。」
こうしてピカチュウとエンテイはディアンシーを案内することになった。
ピカチュウ「ええ、と改めましてはじめまして。僕ピカチュウ。よろしく。」
エンテイ「バカモン!敬語を使わんか敬語を!!」
ディアンシー「いいよ別に。あなたは神のポケモンでもないし、私のほうが年下だし。」
エンテイ「だ、そうじゃ!ディアンシー嬢のお心遣いに感謝するがよい!」
ピカチュウ「なんなのお前・・・。」
エンテイ「おお、ディアンシー嬢!ご覧くだされ!あれがブーバーというこの島で最も醜いポケモンですじゃ!一説によると本当は妖怪なんじゃないかという噂ですじゃ!」
ディアンシー「うわ〜!写メ撮っていい?」
ブーバー「なんだお前は!やめろ!撮るな!」
ディアンシー「え、ダメなの・・・?」
残念そうな顔になるディアンシー。
エンテイ「ばっかもおおおおおん!!」
ブーバー「うわ、神のおっさん!」
エンテイ「いいか!あの子に逆らってみろ!あの子の父親は神のトップに立つお方でな!その方にかかればお前が出てくるゲームをポケモンから妖怪ウォッ○に変えることも可能なのじゃぞ!それどころかこのページが妖怪○ォッチアイランドに変えられてしまうかもしれんのじゃ!おとなしくいう事を聞け!!」
ブーバー「あわわ・・・。す、すいません・・・。どうぞお撮りください・・・。」
ディアンシー「本当!?やったー!」
ピカチュウ「こんな調子で大丈夫なのか・・・?」
エンテイ「わ、わからん・・・。」
ディアンシー「わあ!あなた忍者!?写真撮っていい?」
テッカニン「ぬ?おお、もちろんでござる!忍びなれども写真は拒まない!で、ござる!」
ゲッコウガ「待たれよ。拙者も忍者でござる。写真を撮っていただこうか。」
テッカニン「ぬ、ゲッコウガ!」
ディアンシー「わあ、忍者がもうひとり!すご〜い!」
テッカニン「何しに来たでござる!こちらの女子は拙者をご所望しておられるでござる!」
ゲッコウガ「思い上がるな鉄火流め。本物の忍者をご所望なら拙者の出番でござろう。」
ディアンシー「ねえねえ。」
テッカニン「ぬ?」
ディアンシー「どっちが強いの?」
テッカニン&ゲッコウガ「・・・・・・・。」
テッカニンとゲッコウガは激しいバトルをはじめた。
ピカチュウ「あ〜あ。行こうディアンシー。こんなやつら見るより、ショッピングモールへ行こうよ。」
ディアンシー「ショッピングモール?行く行く!」
ピカチュウ達はテッカニン達を放っていってしまった。
レックウザ「ごほっごほっ・・・。今日も喉がイガイガするなあ・・・・。」
ピカチュウ「ああっ!あそこにレックウザがいる!あいつ歩くウイルスだぞ!」
エンテイ「いかん!ディアンシー嬢にうつったりしたら大変じゃ!行くぞ!」
ディアンシー「あれ?二人ともどこ行くの〜?待ってよ〜!」
ディアンシーを置いてレックウザのほうへ向かうピカチュウとエンテイ。
レックウザ「はっくしょん!あー・・・。ん?」
ピカチュウ「レックウザアアアアアアアア!!」
レックウザ「うわああああああああ!!げほっ!」
エンテイ「マスクじゃ!マスクをさせろ!」
ピカチュウ「こいつのでかい口にあうサイズのやつがない!」
エンテイ「とにかくこやつをディアンシー嬢から遠ざけるのじゃ!」
レックウザ「ちょ、ちょっとどこに連れて行く気!?はっくしょん!」
一方、置いてきぼりにされたディアンシー。
トリミアン「ふっ。僕はトリミアン。泣かせた♀は数知れず・・・。クールでお洒落なXY諸島出身のプレイボーイさ。」
ディアンシー「あれ〜?エンテイ?ピカチュウ君?どこいったの〜?案内してよ〜!」
トリミアン「おや、あんなところに美しいレディーが。さっそく僕のナンパテクニックで落としにいっちゃおうかな。やあそこのハニー!」
ディアンシー「私?」
トリミアン「もちろんさハニー。どう?このあと暇かい?どこかでお茶でもしないかい?」
ディアンシー「本当?ちょうど次にどこ行こうか迷ってたの!行く行く!」
エンテイ「火炎放射!」
トリミアン「どわあああああああ!!僕のお洒落な髪があああああ!!」
ピカチュウ「ディアンシー!知らない人についていっちゃダメだよ!」
ディアンシー「そうなの?」
トリミアン「おいおっさん!どうしてくれるんだ!僕の素敵な髪型がコントみたいなアフロヘアーになってしまったぞ!」
エンテイ「知るか!貴様なんぞあの方にかかれば簡単につるっぱげにされてしまうのじゃぞ!身の程をわきまえんか!」
トリミアン「はあ!?あの方!?なんのことだ!」
バッフロン「よお。兄ちゃん。イカスなそのアフロ。俺と一緒にアフロについてファンキーに語らないか?」
トリミアン「何だお前!?誰が語るか!離せ!」
トリミアンは白黒島出身のバッフロンに連れて行かれてしまった。
カイリキー「あいつお前とキャラかぶってないか?」
サンダース「ふっ。あんなナンパなやつと一緒にしないでもらおう。僕はブースター一筋だ。」
ディアンシー達はポケモン島一のショッピングモールへ来ていた。
エンテイ「どうですじゃ?ディアンシー嬢。ポケモン島ショッピングモールは。」
ディアンシー「楽しい!次はあっちのお店行こう!」
ピカチュウ「ちょ、ちょっと待ってディアンシー・・・。」
ピカチュウとエンテイはディアンシーが買い物した大量の荷物を持たされてヨロヨロになっていた。
エンテイ「どうやらご機嫌のようじゃな。神といえど、やはり女子はショッピングが好きと見えるのお。」
ピカチュウ「そうだね。荷物もちは辛いけど、この調子なら何事もなく終えられそう・・・。」
ピカノ「よおお前ら!何やってんだ?」
ピカチュウ「うわ〜、めんどくさい奴が来た。」
ピカノ「お前な。そういうの普通心の中で言わないか?」
エンテイ「実はかくかくしかじかじゃて。」
ピカノ「へ〜!神のポケモンの娘か!」
エンテイ「馬鹿もの!声がでかい!極秘任務なんじゃぞ!」
ピカチュウ「お前も声でかい。」
ギラティナ「む?神・・・?」
ピカノ達のでかい声を、ショッピングモールへ世界征服グッズを買いに来ていたギラティナが聞いていた。
ピカチュウ「お前いつも僕を面倒事に巻き込んでるんだから、今日は逆に協力してくれるんだろうな?」
ピカノ「やなこった!神様社長の娘の護衛なんてゴメンだね!じゃあな!」
ピカチュウ「待てピカノ!くそ、逃げ足が早い!」
エンテイ「ほうっておけ!それよりディアンシー嬢から目を離すでない!」
ギラティナ「ほうほう。社長の娘ディアンシーか。ギラララララ!面白いことを聞いたぞ!」
ディアンシー「次はどこに行こうかな〜?」
ギラティナ「次は暗黒の世界なんてどうだいお嬢さん?ギララララララ!」
ディアンシー「きゃっ!おじさん誰!?」
ギラティナ「俺様はギラティナ!世界征服を企む悪のポケモンだ!ギララララララ!!」
ピカチュウ「ああっ!あいつはギラティナ!ディアンシーが捕まった!」
エンテイ「な、なんじゃと!!?貴様!ディアンシー嬢を捕まえてなにを企んでおるのじゃ!!」
ギラティナ「・・・む?そういや何も考えてないな。まあいいや。こいつがこちらにいれば神のトップの弱点を握ったも同じだろう!奴の力を利用してなんか色んなことするんだ!具体的なことは後で考える!」
ピカチュウ「そんないいかげんな計画があるかよ!」
エンテイ「お主、誰を相手にしておるのかわかっておるのか!?妖怪にされるぞ!」
その時、さっと帽子を深くかぶったショッピングモールの店員が割ってはいる。
ショッピングモール店員「すいませんお客様〜。お取り込み中申し訳ございません。そちらのお客様がお買い上げのものをお忘れでしたのでお届けにまいりました〜。」
ギラティナ「は!?空気読め!今そんな場合か!?」
ショッピングモール店員「どうぞこちらを。」
ディアンシー「あ、ありがとう。」
ショッピングモール店員「では失礼いたします。」
エンテイ「な、なんなんじゃあんたは?」
ショッピングモール店員は小さな声でエンテイに耳打ちした。
ショッピングモール店員「エンテイ。私だ。ルギアだ。今日はここで仕事をしながらディアンシー嬢を見守っていた。」
エンテイ「ル、ルギアさん。あんた何やっとるんですか・・・。」
ルギア「心配いらない。今彼女にメガストーンを渡してきた。」
エンテイ「はい?」
ディアンシー「う〜ん。なんか身体が変・・・。」
ディアンシーはメガディアンシーになった!
エンテイ「おお!今ですぞディアンシー嬢!悪しきものを成敗してくだされ!!」
ディアンシー「う〜ん、よくわからないけど・・・。えいっ!」
ディアンシーのダイヤストーム!
ギラティナ「うぎゃあああああああああ!!」
ピカチュウ「やった!なんか知らないけどやっつけた!凄いよディアンシー!」
エンテイ「ディアンシー嬢!お怪我はありませぬか!?」
ディアンシー「うん、大丈夫。」
その時、空が再び暗くなってきた。
ピカチュウ「あれ?これって・・・。」
エンテイ「社長じゃ!社長がまた来なさるぞ!!」
ルギア「すまないエンテイ。念のため社長にも連絡を取っておいたんだ。私は次の仕事があるんで後は頼んだよ。それじゃ。」
エンテイ「え!?ちょ、ちょっと!」
雷鳴と共に、再びアルセウスが現れた。
ディアンシー「パパ!」
アルセウス「ディアンシー。地球のポケモン島は楽しかったか?」
ディアンシー「うん!とっても楽しかったよ!ピカチュウ君、エンテイ!ありがとう!」
ピカチュウ「いやいや。楽しんでもらえて良かったよ・・・。」
アルセウス「それよりもエンテイよ。ディアンシーに危険が迫ったと聞いて急いで来たのだがなにがあった?」
エンテイ「そ、それはその・・・。」
アルセウス「まあいい。言いづらいなら勝手にお前の記憶から何があったか見せてもらおう。」
ピカチュウ「(うわ、本当になんでもできちゃうんだな・・・。こわっ。)」
アルセウス「・・・なるほど。怪我こそなかったものの危機一髪だったようだな。」
エンテイ「あわわ、これはその・・・。」
ピカチュウ「ご、ごめんなさいごめんなさい!どうか妖怪にはしないでください!」
アルセウス「まあお主は元より一般人だ。責めはしない。しかしエンテイは神のポケモンとして責任をとってもらうぞ。」
エンテイ「ひいい!妖怪にせんでください!妖怪にせんでください!」
アルセウス「・・・なんなのださっきから?ポケモンを妖怪にしたことなど一度もないのだが・・・。」
エンテイ「え?それじゃあ・・・。」
アルセウス「次のボーナスから引かせてもらう。」
エンテイ「ぬわああああああああ!!どうか!どうかご勘弁を〜!!!」
ピカチュウ「やっぱり会社なんだ・・・。」
続く
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