季節は晩夏を迎えていた。
真夏も過ぎ、気温も漸減する中、まだ太陽はかんかんと町を照ら している。

その町のとある家にプリンとププリンが住んでいた。


夏休みの朝、目が覚め、いの一番に見たものは……ベッドの側 面。

何で? 何でベッドの側面がみえるの?

……あ。

「ベッドから落ちたのね……」

誰も見ていないと思いつつもやはり恥ずかしく感じる。

「もう高校三年生なのに……」

やっぱりからだが丸いところがりやすくて落ちやすいのよ。
そう! そうに決まっているわ!!

それに持ち前の体の柔らかさのお蔭で痛くはないし、 まだ残暑で暑いから風邪もひかず体調は普通。

つまりベッドから落ちても特に何も問題はなかったということ ね!
うん! 問題ないならさっさと忘れちゃおう!

あ、自己紹介がまだだったわね。
私はプリン。キャラ紹介でおてんばとか言われているけど特に気 にはしてないわ。
寧ろ周りの目を気にせず活発に動けていいじゃない。若い証拠 よ!


……そろそろ起きよう。

今日はピカチュウ君の寮に行く約束をしてたの。
だから少し経ったら準備しなきゃね。

じゃあ早速起きて布団を直しますか!

「〜〜♪」

やっぱり朝に好きな歌を歌うのも気持ちいいわね。
布団も直したし、顔も洗ったしその他諸々終わったし次は朝ご飯 ね。

今日の朝ご飯は普通にベーコンエッグにするわ。

……うん、いい出来ね。
良い香りが食を誘うわ。

「おはよう〜」

ププリンが起きてきたみたい。

「おはよう」

私も挨拶をする。

いつも通りの時間に起床。
いつも通りの時間に朝食。
今日も一日健康で過ごせそうね。

やっぱり体を鍛えている者として健康管理はバッチリでないと!

朝ご飯が出来て、ププリンと一緒に食べる。
静かな朝……

「ねえ、おねえちゃん、プリはめ波ってどうやるの?」

唐突に聞いてきたけど普通に答える。

「手に気を集中させて一気に前に押し出すのよ」

「う〜ん……感覚が分からないなぁ……」

「まぁ、威力が高い反面難しいからププリンにはまだ早いかもし れないわね。
 焦らずにゆっくり修行をすればいつかは出来るわよ」

「早くできるようになりたいなぁ」

「いつか出来るようになるわよ。何と言っても私の妹だから!」

「やっぱり修行あるのみかぁ……」

「気を落とさないで! 今日は無理だけど明日にでもプリはめ波 の練習に付き合ってあげるから!」

「ホント!? ありがとう!」

最近はププリンもめっきり強くなってきてるのよ。末頼もしい わ。
私も抜かれないように頑張らなくちゃ!


さて、朝ご飯を食べ終わったから準備しなきゃ。

食器を片付け、手土産に朝食後即行で焼いたクッキー等、 その他必要な持ち物をを持って、さあ出発!

「じゃあ、行ってくるから留守番よろしくね〜」

「あ、私も今日はピチュ―君達と公園で遊ぶの!」

「そうなの? じゃあ戸締まりをしっかりね。  あとあまり遅くならないようにね」

「は〜い」
「もし怪しい人に声を掛けられたらぶっ飛ばしちゃって良いわ よ」

「は〜い。いってらっしゃ―い!」

「いってきま―す」

戸を閉めてふと前方の空を見る。
本日も晴天なり!なんてね。

「ピカチュウ君の寮にゴ―!」

「聞いたぞ」

「キャ――!!  ……って何だヘラクロスか」

最初にあったのがヘラクロスの馬鹿だなんて……萎えるわ と言うか朝から人の家の前で何をしてるんだか。

「……何の用よ」

「ピカチュウの寮に行くだと!?  そんな奴よりも俺の家に来て遊んだ方が面白いに決まってい る!!  だからプリン! 俺の家に来い!」

「はぁ!? ふざけないでよ!!  大体前から行く約束をしてたのに今更行くなんて出来るわけ無 いでしょ!  それに約束が無かったにしても一生行く気なんかないわ!!」

「なら腕ずくでも!!」

「プリンちゃんナックル!!」

「ぐふ……」

全く、突然こんなことを言うなんてこの馬鹿には常識って言うも のがないのかしら?

「……くっくっく」

「……え?」

「俺がこの夏休み中に何もしないと思ったのか?  そう思ったのなら大間違いだ!  何故ならプリンのパンチに耐えられるようにジムに通い続けて いたのだ!!」

「何ですって……!」

「喰らい慣れてることもあってこんなにもダメージが減るとは、 努力も報われるというものだ。  さぁプリン!もうパンチは怖くないぞ!一緒にマイホームへ行 こうじゃないか!」

「ならもう一回!プリンちゃんアッパー!」

「ぐ……うう……まだまだぁ!!」

「プリンちゃんローキック!!」

「ぐは……」

「プリンフック!!」

「連続は……流石に……」

「プリンちゃんバックドロップ!!」

「やめ……」

「プリンちゃんジャーマンスープレックス!!」

「……」

「プリンちゃんキック!!」

「」

「プリンちゃんスクリューパンチ!!」

「……ガクッ」

ふう、やっと黙ったわ。いつもよりしぶとかったのは確かだけど それだけね。

「……そ…そんなに……嫌…なの…か……?」

「!!!」

何!? この馬鹿、自分で「ガクッ」とか言っておきながらまだ 喋るの!?

「い、嫌よ!」

「……そうか…なら使いたくなかったが最終手段だ…!」

「何なの!?」

「…今日プリンがベッドから落ちたことを言いふらしてや…」

「勝手に覗いてんじゃないわよ!! プリはめ波――!!!」

「ギャ―――――!!!!!」

……やっといなくなったわ。
全くどこからみたんだか……気持ち悪い。
第一あの馬鹿が言うことなんて誰も信じないわよ!

はぁ、無駄に取り乱しちゃったわ……
冷静に…心を落ち着けるために深呼吸を…

「ふぅ」

気を取り直して行こう。
また何か起こる前にさっさとピカチュウ君の寮へ。

「この道を進めばもうすぐ寮ね」

誰に言ったのかは分からない独語。
何も喋らず黙って歩くなんて寂しいからね。

「ラティアス〜、待ってくれ〜!」

「ついて来るな! ドラゴンクロー!!」

……ラティ兄妹ね。仲が良いのか悪いのか……。
私は良いと思っているけど。

「これです! こんな家族愛も斬新で素晴らしい!!  是非とも写真を撮って『家族愛写真コンテスト』に応募しなけ れば!!」

「撮るんじゃない! ミストボール!」

「一番高いカメラがぁぁぁぁぁ!!」

「コラ―!! ケンカはやめんか!!」

「HAHAHA! 最高のギャグデ〜ス!  笑いが止まりませ〜ん! HAHAHAHA!!」

……え?今のソーナンスのセリフってまさか『んか』をかけてギ ャグだったの?
笑うの無理でしょ……
そのギャグに気付いて笑ってるゲンガーってもしかしたら凄いポ ケモン?
ってそんなわけ無いか。いや、ある意味では凄いと思うけど……

そういえばどんどん騒動が大きくなってない?
巻き込まれる前に黙過してさっさと行こう。


「……着いたわ。」

ピカチュウ君の部屋は○○○号室だったわね。

「ぶふふふふふ!!   ついに始まった萌えっ娘パチリスちゃん第二期の初回限定版フ ィギュア買えたぞ!  ぶふ……長かった。インターネットの署名活動から、同志との 抗議やストライキ……  やはり努力は無駄ではなかった!こうしてまた萌えっ娘パチリ スちゃんを拝む日がくることをどれだけ願ったか……  これも全て同志達のお蔭!!ありがとう!!ぶふふふ!!」

……マクノシタだ……
何で今日はこんなのに会うのか……
もう無視しよう……

しかし、オタクもあそこまでなると社会問題ね。
人に迷惑を掛けなければ良いと思っていたけど……見ていてこれ だけの威力があると考え物ね。

さて、ピカチュウ君の部屋の前に着いたわ。
チャイムを鳴らして、と。

ピンポ―ン

……この音ちょっと好き

ところでチャイムを鳴らしてから中の人が来るまでの時間ってち ょっと緊張しない?
今回はピカチュウ君だから平気だけど。

「は―い」

中からピカチュウ君が出てきた。

「あ、プリン。」

「遊びに来たわよ〜」

「うん、取り敢えず上がって」

ピカチュウ君の部屋に上がったけどピカチュウ君以外誰もいない みたいね。

そういえばププリンがピチュ―君達と遊ぶって言ってたわね。
『達』の中にはトゲピ―君も入っていたのね。

「今、ピチュ―達が遊びに行ってて僕一人だけだったんだ」

「ええ、ププリンから聞いたわ。  それにしてもピカチュウ君も変わったわね」

「何が?」

「前はトゲピ―君が外出するときは必ず着いてたじゃない。  他にも一匹だけじゃ留守番させなかったりとかね」

「一匹だけだと留守番させないのは今でも同じだけど、外出につ いては確かにそうだね。  でも流石に一人だけじゃ外には出さないよ。今回はピチュ―が 着いてるから。  ピチュ―ももう10歳だし平気だと判断したからね。  ……それにププリンもついてるし……」

「? 何か言った?」

「いや、何も」

「そう……」

絶対何か言ったと思うんだけど……気のせいよね。

「……トゲピ―も段々と喋れるようになって、今じゃ生活する分 には問題ないよ」

「そっか、トゲピ―君ももう7歳だったわね……」

「ププリンは8歳だね」

「ええ、まだ幼かったププリンが懐かしく感じるわ……」

「ピチュ―達もいつの間にかこんなに大きくなっちゃったし。  この間なんか一人でおつかいに行っても余計な物は買わなくな ったし」

「ププリンも今朝、プリはめ波を教えて欲しいって言ってたわ」

「え? そ、そうなんだ」

「そうなの。そろそろ『気』について教えなきゃいけない時期に なっちゃって。  明日にでも手取り足取り教えなきゃね」

「ハハ…頑張ってね」

「…顔色が悪いようだけど大丈夫?」

「あ、大丈夫だから。心配してくれてありがとう。」

「ならいいけど、気を付けてね。受験はないとはいえ健康が一番 なんだから」

「うん、それはそうとやっぱりしっかりしてるねププリン は……」

「そう? 私から見ればまだまだなんだけど…」

「3歳の時には既に一人で留守番してたのに?  ……っていうか『私から見れば』ってどんな視点だったんだろ う……」

「留守番ぐらい大したこと無いと思うけどね。ところでまた何か 言った?」

「いや、特には」

「ま、追懐はこのくらいにしておいて。はい、これ焼いてきたク ッキー」

「ああ、ありがとう。ある程度はピチュ―達のためにとっておか ないと。  プリンの作るお菓子は我が家ではいつも大好評だからね!」

「褒めても何もでないわよ? でもありがとう。そう言ってもら えると作った甲斐があるってものよ」

「でもいつもいつももらってばっかりでごめん」

「いいのよ。作るのも好きだし、何より喜んでくれるしね」

「それもそうだね。もう一回ありがとう」

「どうも」

さて、クッキ―も渡したことだし遊ぼうと思うのだけれど……
実際何して遊ぼうかな……
ちょっとピカチュウ君聞いてみよう。

「ピカチュウ君。何して遊ぶ?」

「あ、それなんだけど…」

「何? どうかした?」

「実は英語の宿題でどうしても解けない問題があるんだ」

「英語で? 解けないほど難しい問題なんてあったかな…」

「いや、一昨日ピカノに無理矢理増やされて……で、提出しない と成績を下げるとか言ってきて」

「……一緒にやりましょ」

「……ありがとう」

「何処まで進んでるの?」

「一昨日からやってたからもうこの解けない問題だけだよ」

「じゃあさっさと片付けましょ」

「っていうか英語って必要なのかな……? あまり重要視されな いし」

「さぁ、知らないわ……取り敢えずやりましょ」

Did you know that that that that that boy used was wrong?

……流石ピカノが出した宿題ね。一筋縄じゃ行かないわ。

「…何よこれ?」

「……英文」

「そうじゃなくて…」

「いや、分かってるけどさ……プリン、この問題解けそう?」

「……ごめん」

「…いや、いいよ。分かった方が変だから」

「…陰湿ないじめね」

「…はぁ」

「解答用紙は無いの?」

「……ピカノが渡すと思う?」

「……思わないけど」

「それに解答用紙があったら間違いなく写してるよ」

「それもそうね。正規の宿題じゃ無いみたいだし。  でも正規じゃないなら成績も下げられないんじゃない?」

「……ピカノだったら下げかねない」

「……確かにね。英語の成績は下がらないと思うけどポケモン学 が下がりそうね」

「で、どうしようか」

「英語が得意なゲンガ―に聞くとかは?」

「……ピカノに脅されてたみたい」

「もう聞いた後だったのね…」

「うん…」

「他の人は?」

「みんな分からないってさ」

「…バリヤ―ド先生に聞くとかは?」

「帰郷してた。夏休みが明けるまで帰って来ないって」

「……まさかピカノの仕業? 帰郷するようにけしかけたとか」

「…やりかねない」

「この分だと他の先生はみんな駄目そうね…」

「確かにね…」

手詰まりかな…何かないものか

ん? ……あれは…パソコン

「……ネットで翻訳する?」

「翻訳サイト使うの? あれ、なんか信憑性に欠けるんだけど」

「そう? だったら普通に検索する? こんな特徴的な文なら何 か出てきそうよ」

「う〜ん…じゃあ普通に検索しようか。良い案も浮かばないし…  あと、ごめん。考えさせてばっかりで。」

「良いのよ。困ったときはお互い様でしょ? それにいつかちゃ んと返してもらうから!」

「はは…」

苦笑いをしながらピカチュウ君は部屋にあるパソコンを立ち上げ る。
そして手際良く検索サイトにいく。慣れた手つきで画面を見なが ら検索ワードを打つ。
流石に速いタイピングね。私にはとても出来ない。

「……出たよ。案の定外国のサイトばっかりだから日本のサイト のみを表示っと。  出た出た。流石ネットだね。これが答えなのかな? って何こ れ? こじつけクサッ」

「ピカチュウ君って独り言好きなの?」

「いや、そう言う訳じゃ…取り敢えずこれで良いのかな?」

「ええと、『あの少年がつかったあのthatが間違っていることに あなたは気付いていましたか?』  …何これ? ちょっと苦しいような…」

「でもピカノが出した問題だし…」

「……そうね」

「取り敢えずこれを写して宿題終わりっと」

「一問だけでこんなに面倒だとはね。ピカノも手が込んでるわ」

「ちょっと感心しちゃうね…悪い意味で」

「私は呆れるけど」

「とにかく! 宿題も終わったことだし何かしよう!」

「そうね。なにやる?」

「やっぱりゲ―ムかな?」

「いいわよ。何するの?」

「スマブラXで」

「了解! 手加減は無しよ!」

「のぞむところだ!」

二人で出来ることなんて少ないからやることも限られたりするん だけど、
スマブラだったらタイマンが出来るから二人でも楽しそうね。
因みにマイキャラは勿論プリン! それ以外は考えられないわ!
負けられないプレッシャ―が後押しして実力を上げてくれる心理 を利用した…ってどうでも良いわ。勝てば。

相手はマルス。
遠距離がないのは嬉しいけど、攻撃判定がどれも強くて大変ね。
だけど…

『Winnerプリン!』

「……攻撃が当たらない。流石に凄い反射神経だね…」

「当たり前よ! 毎日鍛えてるからね!」

そう、要は全て避けてその攻撃後の隙に攻撃を叩き込めれば勝て るんだから。
私の反射神経を甘く見ないでね?

「今度こそ!」

「私は手加減する気なんて全然無いからね」

…………

『Winnerプリン!』

「……20連敗…」

……ここまで来ると良心の呵責を感じるわね…
それでも手を抜けないのが私の性格。

「えっと……次は勝てるかもよ?」

「うん…」

…………

「……50連敗…」

「こ、今度こそ勝てると思うよ?」

「…ゴメン、くじけた」

「…なんかゴメンね」

「いや、僕が弱すぎただけだよ。それに所詮ゲ―ムだしさ。気に はしていないよ。  ……それにプリン相手に勝てるとは思っていなかったし……」

「最後何か言った?」

「いや、特に」

また何か聞こえた気もするんだけど……
それよりやるゲ―ムを変えた方が良さそうね。
こっちも辛くなってきたわ…

「そう…。そろそろ他のゲ―ムやらない?」

「そうだね。太鼓の達人なんてどう?」

「いいわよ。やりましょう!」

…………

「……どんどんと総合ベストが余裕で塗り替えられていく……」

「……」

「まぁ、僕も僕でかなり楽しいから良いんだけどね! ここまで 来ると寧ろ清々しいよ!  ……音ゲ―でもプリンに勝てるとは思っていなかったし……」

「そう? とにかく楽しめてよかったわ!」

よかった。これならこっちも楽しいわ。
それにしてもまたまた最後に何か言ったような……
聴力には自信があるのに……はっきり聞こえさせないようにつぶ やくの上手いわね……

…………

「そろそろゲ―ムをやめる?」

「そうね、目のためにも今やめるのが潮時ね」

「それにピチュ―達も迎えに行かないと」

ふと時計を確認すると5時。
外はまだ明るいけど子供はもうそろそろ帰る時間ね。

「ええ、そうしましょ」

ゲ―ムを消して外に出る準備をする。
と言っても持ち物を持つだけだけどね。

「準備も出来たし公園に行こう」

「分かったわ」

名残惜しいけどさらば!ピカチュウ君の部屋!
いつも思うけど二匹も弟がいながら細かいところも片付いていた わね。
「ピカチュウ君って案外マメな性格?」

「え? 何が?」

「あ、いや何でもないわ…」
……声に出ていたとは……
というか別にはぐらかす理由もなかったんじゃ……
まあ良いわ。


……

「ふぅ…」

……今日も楽しかったわね。
前からだけどピカチュウ君といると楽しいのよね。
最近はちょっと違う感情もあるけど……
……ちゃんとその感情は自覚してるわ。
……ただ、やっぱり怖いのよね。もしも…の時に。
あんまり気にはしていないけど、もしかしたらもうこの感情はば れているかもしれない。
でもばれていても、ばれていなくても、良い。
いつかはこの想いを伝えるつもり。
そりゃ、伝えられる方が楽だけど……やっぱり待つのは性に合わ ないって言うか…

「プリン、公園に着いたよ」

「え!? あ、うん!」

「……どうしたの?」

「ちょ、ちょっとした考え事よ!」

「……僕で良かったら相談に乗るけど?」

「いや、別に大したことじゃないから!」

「ならいいけど……」

言えるわけ無いよね……
やっぱり行動にはそれに伴う勇気が必要かぁ。
すぐには出せないわね。これほどの勇気は。
でもいつかその勇気を出して…ね。
というか何かベタな展開ね。

「じゃあピチュ―達を呼ぼうか」

「そ、そうね!」

「……」

ああもう、私ったら取り乱し過ぎよ!
とにかく落ち着いて深呼吸……何てしたらピカチュウ君に不審が られるから、 想像の中だけで私が深呼吸している姿を思い浮かべて……と
……ふぅ。初めてやるけど案外効果があるものなのね。新発見だ わ。

「お〜い、ピチュ―! トゲピ―!」

「ププリ―ン! 迎えに来たよ―!」

ピカチュウ君の呼び掛けに続いて私が言う。

「あ、もうこんな時間なんだ。帰らなきゃ。帰ろう!トゲピ―に ププリンちゃん」

「うん! また遊ぼうね、ピチュ―君にトゲピ―君!」

「うん、また遊ぼ!」

ピチュ―君、帰るときになってもぐずらなくなったわね。
トゲピ―君も自発的に喋れるようになったわ。と言ってももう7歳 だから当然ね。

「じゃ、ププリンちゃん、またね―!」

「じゃあね―!」

「ピチュ―君もトゲピ―君もまたね!!」

この風景、和むわねぇ

「プリン、じゃあまたいつか!」

「ピカチュウ君もまたね!」


またいつかこの想いを伝えようと思う。
答えが何であろうと伝えられれば悔いは残らない。
とにかく後悔だけはしないようにしなきゃね。
当然、答えは良い方が良いに決まっているけど。
じゃあ………またいつかに………

……さて、とププリンの手を握って今日について語りながら帰り ますか。

fin
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